【ナント(フランス)=松本航】日本(世界ランク12位)が2大会連続8強を逃した。過去1勝5敗のアルゼンチン(同9位)に27-39で敗れて3位。各組上位2チームの決勝トーナメント進出はかなわなかった。後半に一時2点差に迫ったが、防御間を突破されるシーンが目立ち、運動量が落ちた終盤に引き離された。16年から指揮したジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC、53)は今大会限りで退任。各組上位3チームに与えられる出場権を得た27年オーストラリア大会は、新たな体制で臨む。
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拳を振るアルゼンチン応援団の歌声が響き渡った。日本が12点を追う後半38分。右ラインアウトからトライを狙った攻撃は、ノックオンでついえた。最終盤に足が止まり、速攻を仕掛ける力はなかった。ノーサイドの笛を聞き、フランカーのリーチは腰に手を当てたまま立ち尽くした。「『世界の壁はこれだな』と思った。全力を尽くした結果。相手の方が強かった。それがラグビー」。主将姫野和樹は「エベレストに自分たちの桜を咲かすことができませんでしたけど、でも本当に最高のチームだったと本当に言えます」とかみしめた。世界最高峰エベレストに例え、頂点を目指した戦いが終わった。
磨き上げた宝刀をかいくぐられた。開始2分、BK陣の合間をすり抜けたCTBチョコバレスに先制トライを献上。2点差に迫った後半28分には内にステップを切ったWTBのM・カレーラスに、BK2人のタックルが空を切った。リーチは「2(つの)パス、3パスぐらいでトライ。それがなければ違う戦いになった」。80分間で170本のタックルを浴びせ、生まれた26本のミスが差となった。
防御はこだわりだった。昨年に元ニュージーランド代表HCのミッチェル・コーチが就任してシステムを整備。根本となるタックルは今年6月の千葉・浦安合宿で、朝の1時間、水を飲まずに極限の状態で繰り返した。プロップ稲垣は「お見せできる内容じゃない。指がもげる」と口にし、服をつかむタックルは厳禁。全ては苦しい状況で相手を倒すためだった。だが、前半にはフランカーのラブスカフニがハイタックルで10分間の一時退場。試合を通しての一貫性には欠けた。
前戦サモア戦から中9日。稲垣は「自信を持って刀を振る準備をしてきた。振らなければやられてしまう。今、それを振る時だ」と決戦を侍に例えた。後半16分にはゴール中央でFBレメキが右足を振り抜き、約45メートルの長距離DG成功で2点差に迫った。どれだけ劣勢に陥っても、それぞれが最後まで刀を振り続けた。
南アフリカから歴史的初勝利を挙げた8年前。そこからジョセフHCがバトンを受け継ぎ、複数のリーダーが生まれた。主将のNO8姫野は「100%勝てるプランはあった。ただ、それを毎回はできない。そこでの対応力が後手に回った」と分析し、仲間に伝えた。
「プロセスは無駄じゃない。エベレストを登る夢は、これからも受け継がれていく。胸を張って帰ろう」
桜の戦士はフランスの地で潔く、散った。




