ラグビー・ワールドカップ(W杯)フランス大会に臨んだ日本代表の戦いが、2勝2敗の1次リーグ敗退で幕を下ろした。4年前の日本大会は過去最高の8強。16年から率いたジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC、53)は退任し、バトンは新体制に移る。今年5月に従来の北半球、南半球の強豪10カ国「ティア1」に加わり、「ハイパフォーマンスユニオン」の一員となった日本。この4年間の歩みで突きつけられた課題、同時に積み重ねられた次回27年オーストラリア大会への財産を、前後編2回連載でひもとく。

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経験豊富な主力が強豪と互角に戦った一方、後半の残り20分で相手を上回るための選手層が課題となった今大会。起用された20代前半の若手は4年後への希望をもたらした。代表最長身201センチを誇るロックのディアンズは千葉・流通経大柏高から、仮に大学に進んでいれば3年生の21歳。前回の19年日本大会と比べ、さらに若い人材が大舞台で出場し、4年に1度の独特な空気を味わった。

◆19年W杯の試合出場者 満25歳(最年少)=具智元、姫野和樹、松田力也

◆23年W杯の試合出場者 満21歳(最年少)=ワーナー・ディアンズ 満22歳=李承信 満23歳=長田智希 満24歳=福井翔大、下川甲嗣、シオサイア・フィフィタ

ディアンズは全4戦で途中出場し、第1戦チリ戦でトライ。故障でW杯初戦のチリ戦が23年の代表戦初出場となったが、昨秋までは主力の位置付けだった。21年春にBL東京(旧東芝)入団。所属でまだ公式戦に出場していなかった同年11月、ポルトガル戦で先に代表初出場を飾る。当時、強化担当の藤井雄一郎ディレクター(D)から「きっとスーパースターになる」と期待され、ディアンズは「夢だったW杯でプレーでき、すごくうれしい」とアルゼンチン戦までの2年で11キャップを積み上げた。

「人」だけに限らず「言葉」の財産も残した。W杯の大目標を優勝に設定し「エベレストに登る」と世界最高峰に例えた。W杯の苦境を標高8000メートル超えの「デスゾーン」とし、極限状態で足並みをそろえるため「絆」「勇気」などの合言葉を作った。宿舎や練習場で目にし、常に飛び交う単語の数々。主将経験者のフッカー坂手は「僕たちが選手でなくなり新たな選手が入ってきた時にも、代表はどういうものなのか、責任や誇りを確認できる」と説明した。出身が8カ国に及ぶ選手を束ねるだけにとどまらない役割があった。

日本は11年ニュージーランド大会までW杯通算1勝2分け21敗。15年南アフリカ戦の歴史的勝利で風穴をあけ、ジョセフHC体制の2大会で6勝3敗とした。今後は同HCが母国ニュージーランドに帰国。藤井Dがリーグワン静岡の監督、スクラムを担当する長谷川慎氏がコーチとなって指導する。代表が転換する中、4年後に39歳となるリーチは未来を見据えて言った。

「19年、23年で感じた選手がたくさんいる。その人たちが30代やベテランになり、学んだことを、どうつなげていくか(が大事)」

首脳陣が一新されても、体格で劣る日本が緻密さにこだわり、組織で世界と戦う構図は変わらないだろう。8強、そしてこの4年で意識した優勝へ-。不可欠な財産は人と言葉によって引き継がれる。【松本航】

◆27年W杯へ期待の若手 今大会のメンバー以外では、昨季リーグワンでベスト15に輝いたWTB木田晴斗(24=東京ベイ)らが注目される。選手層が懸念されているプロップでは、帝京大出身でスクラムに定評のある東京SG2年目の細木康太郎(23)らが有力候補。現役大学生ではフッカー江良颯、フランカー奥井章仁の帝京大4年生コンビが世代を引っ張っている。東洋大2年で南アフリカ出身のジュアン・ウーストハイゼン(21)は、身長211センチの大型ロック。本人の意向次第では5年間在住により、日本代表への道が開けるかもしれない。