A組2位のニュージーランド(NZ)「オールブラックス」(世界ランク2位)が、史上最多4度目優勝に王手を懸けた。D組2位アルゼンチン(同7位)に44-6と1トライも許さず、2大会ぶりの決勝に進んだ。
WTBウィル・ジョーダン(25=クルセーダーズ)はハットトリックで大会8トライ。99年にNZのレジェンド、ジョナ・ロムーらが記録した最多トライ数に並んだ。28日(日本時間29日)の決勝で歴史を塗り替え、王国を頂へと導く。
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もう、誰も手を付けられなかった。
39-6の後半33分、ジョーダンは自陣22メートルライン付近でギアを上げた。味方のパスで防御の合間を一気に突破し、背後からのタックルも振り切る。2人のマークを見るや、ハーフウエーライン過ぎで右足にボールをかけた。圧倒的なスピードで捕球すると目前にはインゴール。80メートル近くを1人で崩しきった。
この日3トライ目を冷静に喜ぶと、フォスター監督から「彼らはいいプレーをした。ウィルはフィニッシュがうまい」とたたえられた。
近年、低迷もささやかれた王国は強かった。
序盤は自陣での防御が続いたが、相手WTBボフェリの先制PGのみでしのいだ。3点を追う前半11分にはFWが防御を内側に寄せ、右大外に陣取ったジョーダンが逆転トライ。計7トライでたたみかけた。
大会前の8月25日には南アフリカに7-35と大敗。9月8日のW杯開幕戦も開催国フランスに13-27で敗れた。それでも準決勝の大一番で防御もトライを許さず、主将でフランカーのケーンは「雑音を遮断することには慣れている。私たちは今、全く違うチームだ」と胸を張った。
けん引役のジョーダンはこの日時点で2位に2本差の大会8トライ。99年のロムー(NZ)、07年のハバナ(南アフリカ)、15年のサベア(NZ)に並び、決勝での歴代最多更新にも期待が懸かる。
最後の相手は日本時間22日早朝に戦うイングランド-南アフリカの勝者だ。フォスター監督は「ポップコーンを食べながら見るよ。どっちが勝っても気にしない。我々は自分たちに集中している」。新たなスターが躍動する王国は、地に足をつけている。
◆ウィル・ジョーダン 1998年2月24日生まれ、NZ・クライストチャーチ出身。元同国代表SOのダン・カーター氏らを生んだ名門クライストチャーチ・ボーイズ高を経て、19年にクルセーダーズで世界最高峰スーパーラグビーデビュー。前回W杯後の20年11月オーストラリア戦で代表初キャップ。21年に世界最優秀新人賞。代表通算30試合で驚異の31トライ。スピードあふれる、しなやかな走りが武器。188センチ、91キロ。
◆ロムーとW杯 15年11月に40歳の若さで亡くなったロムーは、95、99年W杯に2大会連続出場。196センチ、120キロの大型WTBで、全盛期は100メートル走10秒台を記録した。95年は7トライ、99年は8トライで2大会連続のトライ王。代表通算63キャップで37トライ。98年に肝臓の病気を患い、04年には移植手術を受けた。15年にオークランドの自宅で亡くなり、NZのコールマン・スポーツ大臣は「この国にとって最大の衝撃」と悼んだ。




