故元前頭久島海の田子ノ浦部屋が2つに分かれることになった。日本相撲協会は22日に東京・両国国技館で理事会を開き、13日の親方の急逝に伴う8力士の転属を承認。力士の意思を尊重し、前頭碧山(25)ら3人は元関脇栃乃和歌の春日野、幕下海龍(21)ら5人は元関脇鷲羽山の出羽海部屋へ転属となった。師匠の急死による転属先が分かれるのは、昭和以降では例がない。

 急死から9日がたち、ようやく移籍先が決まった。田子ノ浦親方の妻綾子さんら遺族の落ち着くまでという意向に、力士の意思を優先したいという理由で時間がかかった。春場所へ向けて大阪入りも間近に迫り、前日21日に力士1人ずつが希望先を意思表示。両部屋の師匠に受け入れをお願いした。

 田子ノ浦親方は何かあった時には、自らが育った本家出羽海部屋へ行くよう言い残していた。5力士はその意向に従ったが、唯一の関取でブルガリア出身の碧山らは春日野部屋を選んだ。同じ出羽海一門も系統は違うが、日ごろから出稽古。春日野親方は「関取のいるところで強くなりたいという気持ち」と受け入れた。ただ、人数増で関取も2人部屋になるという。

 稽古に寝食を共にした兄弟弟子たちが、春場所から対戦する可能性もある。八角危機管理部長(元横綱北勝海)は「好ましくないとの話も出た。情が移らないかなど監察委員に厳しく見てもらう」と話した。