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河野一郎事務総長に聞く「今だから東京で新たな五輪を」 その2

五輪はローリスク・ハイリターンの稀なイベント

 それでも、五輪はお金がかかりすぎる、五輪にお金を使うなら福祉などに使うべきという反対の声も多く聞かれる。

河野事務総長 もちろん、反対のご意見も頂くし、反対がない方がおかしい。確かにお金はかかる。しかし、世界の都市がこれだけ五輪を招致したいというのは、国家ビジネスとしてペイすると皆が考えているから。損をすると思ったら、誰も手を挙げない。最近の五輪は良くも悪くも、コマーシャリズム導入もあって世界で一番失敗しないイベント。これだけ繰り返していて失敗したことのないイベントは少ない。ローリスク・ハイリターン。スポーツを人間の目線で見たときに、夢と希望と感動をというだけではない。夢と希望と感動と実量というところがスポーツビジネスの重要な視点。

 招致に成功し、五輪が行われれば、経済効果は全国で2兆9400億円、東京都内で1兆5500億円と言われる。

河野事務総長 10月2日に日本が招致に成功すれば、7年間にわたり日本が世界の主役になる。黙っていても世界のメディアだけでなく、いろんな人が注目する。経済効果ということよりもっと直接人が来るようになる。イベント、会議が開かれる。それは、国が目指していること。国を活性化するために何とかして招致したい。

 今年7月12日の都議選で自民、公明が過半数割れし、民主党が初の都議会第1党になった。石原都知事へのYESの声が減り、招致への影響も心配されるが、河野氏はその心配を一蹴する。

河野事務総長 影響はほとんどないと思っている。もともと国も都も、超党派でもって五輪招致は決議していただいているし、国会決議でも、衆議院も参議院も両方とも賛成していただいている。招致議連がつくられており、民主党も入っているので反対する理由は見つからない。市場の移転は誘致とは関係ない。政党によって違いはあまりないと思う。スポーツにポジティブな政党ばかり。

ラグビーW杯開催決定で勝利の方程式

招致委員会メンバーと河野事務総長(前列左端)(写真提供:フォートキシモト)
招致委員会メンバーと河野事務総長(前列右端)(写真提供:フォートキシモト)

 7月末には、五輪招致成功よりひと足先に、19年ラグビーW杯の開催決定という嬉しい知らせが届いた。河野氏は大学時代にラグビーをしており、99年のラグビーW杯では日本代表の団長と強化推進本部長も務めた。さらに、国際ラグビーボード(IRB)理事会メンバーでもある。

河野事務総長 本当によかった。最後の粘り勝ち。11年招致では2票差で大変悔しい思いをし、それが今回生きた。五輪とは違い、票が26票でだいたい投票行動が読めるという中での投票。W杯を運営するW杯リミテッド(RWCL)が提案した15年イングランド、19年日本という提案を支持するかどうかという投票だった。11年のこともあるし、ラグビーを国際スポーツにする、五輪にセブンス(7人制)を持っていくことをシンクロナイズさせると日本の開催に反対する人は9割以上いなかった。しかし、15年イングランドに関しては、意見の割れるところだった。我々としては、19年に日本がやるためにはこの提案を受けてくれなければ困ると説得した。粘り勝ち。五輪も一緒で、当事者が本当に招致したいと思っているかが大事。

 ラグビー招致に成功したことで、五輪招致成功へも一歩前進した。両者の間には「勝利の方程式」が存在すると河野氏は自信を見せる。

河野事務総長 五輪とラグビーには1つのいいシナリオが出来ている。00年シドニー五輪のあと03年ラグビーW杯。これは大変成功した。12年ロンドン五輪で15年ラグビーW杯、16年東京五輪で19年ラグビーW杯。「勝利の方程式」だ。五輪をやったあとにラグビーW杯をやるというのは五輪の方から見ても非常にいい。出来上がっているボランティアを含めた人のネットワーク、インフラすべてが有効に生きる。五輪、IOCとしても望むところ。

 08年6月の第1次選考で、立候補していた7都市から、東京、マドリード(スペイン)、シカゴ(米国)、リオデジャネイロ(ブラジル)にしぼられた。インフラ、財政など11項目中、東京は4項目で1位、6項目で2位を獲得し、総合トップ。それでも河野事務総長は気を引き締める。

河野事務総長 どこもライバル。どこが勝っても負けてもおかしくない。1次選考での評価は高かったが、人による選挙なので、好き嫌いがある。嫌われなかった都市が勝つレース。落ちた都市の票を取れたところが勝つ。前回の例を見ても、ロンドンは第1ラウンドでは2番手か3番手。落ちた都市の票をロンドンはだんだん取って、最後に勝った。第1ラウンドだけでランクをつけたら、ロンドンは一番上ではない。その辺が難しい。

 8月2日に「フジヤマのトビウオ」古橋広之進氏(享年80)が、世界水泳が開催されていたイタリア・ローマで亡くなった。JOCの会長を務めた古橋氏のためにも「五輪招致を成功させたい」と力を込める。

河野事務総長 ローマで一緒だった。亡くなる前日に私は帰国したが、その前夜に10月2日のことについていろいろと話した。「何でもやるから言え」「言いにくいことはオレが全部言うから」と背中を押されて帰ってきたところだったので、大変ショックだった。高校までは水泳をやっていて、神宮プールで古橋先生のスターターで泳いだこともある。おっかない顔をしていたなぁ。ずっと、雲の上の人だった。さきほど話した豊田先生の日大水泳部の後輩が古橋さん。いろいろつながりがあった。いつも「全面的にサポートをするから」「やるからには絶対勝てよ」と言ってくれた。日本人的にいえば、古橋先生の思いを持って五輪招致を成功させなければいけない。古橋先生は五輪に対して特別な思いをお持ちになっていたので、本当になんとしても…と思っている。

河野一郎(こうの・いちろう)

◆河野一郎(こうの・いちろう)
 1946年(昭21)11月6日、東京都生まれ。東京医科歯科大卒。内科医。筑波大講師、助教授を経て99年教授に就任。医学博士。日本選手団チームドクター、JOC理事などを経て、06年東京五輪招致委員会事務総長に就任。JOC理事として中長期選手強化計画事業「JOCゴールドプラン」に関わり、04年アテネ五輪での日本の過去最多メダル獲得に貢献、ナショナルトレーニングセンター設立に力を尽くした。日本アンチ・ドーピング機構(JADA)理事長として反ドーピング活動にも取り組んでいる。
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