<東都大学野球:東洋大4-1亜大>◇第8週初日◇28日◇神宮

 東洋大が劇的な逆転勝ちで3季連続、12度目の優勝を決めた。亜大に9回2死まで0-1とリードを許したが、そこから四球と指名打者の松永隆太(4年=九州学院)の右越え二塁打で同点。さらに十九浦拓哉内野手(4年=八千代松陰)、大野奨太捕手(4年=岐阜総合学園)の連続本塁打で3点を勝ち越し、4-1で相手を振り切った。東洋大は残り試合を連敗し、勝ち点を落としても勝率で亜大を上回る。

 ドラマは1点を追う9回2死一塁、カウント0-3から始まった。1安打投球を続けた亜大・岩見から、松永がライトフェンス直撃の同点二塁打を放つ。さらに十九浦、大野に連続本塁打が飛び出した。お祭り騒ぎのベンチで高橋昭雄監督(59)は我を失っていた。「奇跡だね。半分以上あきらめてたよ。野球の神様っているんだね~」。戦後初の3季連続完全優勝へあと1勝と迫った。

 絶対的なエース、ソフトバンク大場が抜け、開幕前に東洋大を優勝候補に挙げる声はなかった。それが最大の発奮材料だった。大野主将は「自分たちだけでもできるって、意地があった」とチームをまとめた。

 高橋監督は来月8日に還暦の誕生日を迎える。赤いちゃんちゃんこ代わりに、選手たちは胸に「TOYO」と入れた赤いユニホームを特注で作った。部員が200円ずつ出し合い、背中に「生涯青春」と入れた。2日後の6月10日には全日本大学野球選手権が開幕する。「監督は打ち勝つ野球が好きですからね」と大野主将。日本一が何よりのお祝いになる。【前田祐輔】