歌手の吉幾三(56)が総監督を務める青森の社会人野球クラブチーム「ブルーズヨシフォレスト」が、19日開幕の全日本クラブ選手権第2次予選東北大会(青森・弘前市運動公園野球場ほか)に初出場する。吉が一昨年秋、青森の活性化のため設立。2シーズン目の今年、5月の県予選で初優勝した。今月上旬の都市対抗県予選でも初優勝。波に乗る吉球団が初の全国大会出場を目指し、東北大会にデビューする。

 ブルーズヨシフォレストが、ついに県タイトルを奪取した。その要因として、昨秋以降の選手補強が効いた。特に投手陣は、クラブ選手権県予選決勝で高田英治(30=青森大)、都市対抗県予選決勝で一戸俊介(27=三沢商)がともに完投勝利。「課題だった投手力が整備されてきたのが大きい」と八戸美知男監督(59)は分析する。

 吉幾三総監督が、故郷青森を元気づけようと設立。具体的には、地元で働きながら硬式野球ができる場の提供だ。だが昨年来の不況と雇用不安、ガソリン代高騰など、チームを取り巻く環境は厳しかった。その上、選手は県内一円から集まることから、仕事の都合で練習、試合に参加できないケースも多い。

 俊足巧打の1番打者、村林学二塁手(20=野辺地西)は、青森市内のカラオケ店で働く。「店長さんの理解があり、今週末の東北大会に出られる」と感謝する。「野球を続けたくて吉球団に入団した。東北大会出場はうれしい。西武ドームに行けるよう頑張りたい」と張り切る。

 出場10チーム中、4チームに全国大会の切符が与えられる。「地元の企業などの理解、協力をさらに得るためにも、全国大会に出場してチームをアピールしたい」と八戸監督。大きなチャンスに「よし、いくぞー!」だ。【北村宏平】