<都市対抗野球>◇8月31日◇準決勝2試合◇東京ドーム

 今季限りで休部する日産自動車(横須賀市)のラストサマーは、1安打完封負けで幕を閉じた。トヨタ自動車(豊田市)に0-1で敗れ、最後の都市対抗が終わった。4戦連続先発の石田祐介投手(27=東京国際大)が7回1失点と粘ったが、ソロ1発に泣いた。ホンダ(狭山市)は3-2でNTT東日本(東京都)を破り準優勝した04年以来の決勝進出を決めた。1日の決勝はホンダ対トヨタ自動車の「ハイブリッドカー対決」となる。

 見上げた打球は、無情にも左翼スタンドに飛び込んだ。7回無死、4試合連続先発の石田が、9番二葉に初球の135キロ直球を狙われた。4回には右足に打球を受け、1死二、三塁のピンチを招いたが、無失点で切り抜けた。粘りの投球を続けながら「悔いが残る。1球の怖さを知った」とうつむいた。夏休み最後の日。打撃陣がわずか1安打に終わり、日産自動車のラストサマーは幕を閉じた。

 選手はベンチで泣き崩れた。都市対抗では2戦2勝だった「自動車対決」に敗れた。久保恭久監督(48)は「相手が相手だし、すごく悔しい敗戦。こういう状況でも選手たちは愛社精神を持って戦っている」と顔をこわばらせた。

 2月9日、経営合理化の一環として突如休部が通達された。99年に都市対抗を観戦したカルロス・ゴーン社長は、企業文化の象徴として野球部存続を約束していた。しかし10年で状況は一変。選手が受けたショックは大きく、春季キャンプ開始まで練習は中止になった。

 それでも、もう1度日本一になるために1つになった。久保監督は「チームとして白旗は上げるつもりはない」と言った。今秋の日本選手権が最後の大会。同選手権の神奈川2次予選は、22日に始まる。【前田祐輔】