<東都大学野球:亜大1-0中大>◇第6週最終日◇14日◇神宮

 亜大のエース東浜巨(なお)投手(2年=沖縄尚学)がドラフトの超目玉、中大・沢村拓一投手(4年=佐野日大)に投げ勝ち、優勝に望みをつないだ。1回戦に続く両者の対決は、東浜が被安打5本で中大を完封。平田ブルーノ捕手(4年=八王子)の適時打で挙げた1点を守り抜いた。

 東浜がしみじみと言った。「ほっとしました。沢村さんは東都NO・1投手。リベンジの機会をくれたみんなに感謝です」。力投の完封勝利はチームメートとの約束だった。

 12日の1回戦では、リーグ戦デビューの昨春から2戦投げ勝ってきた沢村に初めて敗れた。この日の夜、合宿所で開かれたミーティングで、東浜は仲間たちに頭を下げた。「もう1回投げさせてください。3戦目は必ず勝ちますから」。生田勉監督(43)から味方に何点必要か問われると「1点でいいです」と即答。事実上の完封宣言だった。

 投球は初回から150キロをマークし5安打8奪三振。死球を出しても果敢に内角を攻めた。フィールディングもさえた。6回、顔面ライナーをとっさにキャッチ。1点リードで迎えた8回1死二、三塁のピンチでは板井のスクイズをグラブトスで刺した。「体が反応しました。グラブを出したのも覚えてない」と神がかった集中力を発揮。この回を空振り三振でしのぐと、勢い余ってガッツポーズで転びそうになるほど喜んだ。

 ウイニングボールは、打点を挙げた殊勲の平田にプレゼント。この勝利で優勝の可能性もつなぎ留めた心優しきエースは「(25日の)立正大戦も全員で勝って、いい形でリーグ戦を終えたいです」と柔和な笑みを浮かべた。【鎌田良美】