<神宮大会:早大2-1東海大>◇最終日◇18日◇大学の部決勝◇神宮

 東海大が早大に競り負け、春の全日本大学選手権に続き決勝で涙をのんだ。

 9回、キャッチボールをしながら味方打線を見つめる東海大・菅野智之投手(3年=東海大相模)は、少し悲しそうに笑っていた。「こんな楽しい時間が終わっちゃうなんて、寂しいなと」。大観衆の中で、斎藤ら早大ドラ1トリオと投げ合った。敗れたが、最初で最後の対戦を心から楽しんでいた。

 1回に自己最速にあと2キロと迫る155キロを記録するなど、135球のうち20球が150キロを超えた。失策や四球で招いた6回2死満塁で、初球の甘いカットボールを右前に運ばれ逆転された。5安打6奪三振、自責は0。「精いっぱいやった。悔いはない」と表情は晴れやかだ。春の全日本大学選手権も、決勝で東洋大に0-5と完敗。未熟さを嘆いた。同じ準優勝でも「力の差は感じなかった。(優勝への)距離は近くなった」。

 試合終了時、斎藤から「来年頑張れよ。ナイスピッチング」と肩をたたかれた。斎藤がマウンドに上がると、ベンチやスタンドが一体となって、大声援を送った様子を目に焼き付けた。「自分もみんなに信頼されて、背中を押してもらえるような投手になりたい」。

 入学以来、全国大会の準優勝は3回目。1度も栄光をつかんでいない。「もしまたチャンスがきたら、絶対ものにする自信があります」。見つめる先には、1年後の日本一が待っている。【鎌田良美】