巨人山口俊投手(30)が首位広島を133球の力投で9回2安打に抑え、約1カ月ぶりの勝利を移籍初完封で飾り、チームの広島戦連敗を4で止めた。リーグトップの4完投をすべて地方球場でマークする「地方巡業の鬼」の働きで広島とのゲーム差を3・5に縮めた。

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 地方巡りの醍醐味(だいごみ)がある。山口俊の今季登板した8戦中4戦が地方球場。飛行機やバス移動の時間は読書に充てることが多いという。「本を読むことは好きじゃないです。今まであまり勉強してこなかったので」と頭をかくものの、周囲の勧めで5年ほど前から読書を始めた。最近読んだ本はパナソニック創業者・松下幸之助の著書。「人の上に立つ人の心得を学びました」と、気になった言葉が載っているページには付箋を貼り、ノートに書き写しもした。「(横浜時代の)若い時は三浦(大輔)さんにいろいろ教えてもらったけれど、正直ピンとこなかった。でも、この年になって分かることも多い」。がむしゃらに自分の結果だけを追い求めた時期もあった。だが、今は違う。チームのために腕を振る。遠回りしたからこそ、見えた道があった。【巨人担当=桑原幹久】