ヤクルト投手陣の打撃を、1つの観戦ポイントに挙げたい。

まずは、原樹理投手(25)。今季初戦となった4月2日DeNA戦(神宮)では、2打数2安打をマークした。「たまたまです。振ったら、当たりました。当たったのが奇跡です」と苦笑いで謙遜していたが、相手は東洋大の後輩であるDeNA上茶谷で、実は狙っていた。

打席では「常に打つ気満々」という。数字にも表れており、今季6試合に先発し14打数5安打1打点を挙げている。打率は3割5分7厘だ。

一方、昨季は34打数6安打の1割7分6厘だった。打撃向上の陰には、宮出打撃コーチの指導があった。キャンプ中に、「後ろが大きくなっている」とアドバイスを受け、打撃フォームの右肘の動きを修正。「去年はあんまり打てなくて、宮出コーチに教えてもらった」と明かした。

もう1人は、小川泰弘投手(28)だ。4月5日の中日戦(神宮)では、0-3で迎えた2回無死二、三塁のチャンスで先発笠原から適時二塁打を放ち、打点を挙げた。二塁打は16年以来だった。

先発ローテーションを守る中で、コンディションにもよるが週に約3回の打撃練習を重ねている。「やるべきことを、やっておこうと思っている。(打撃は)振り遅れないように、無駄な動きをなくそうと思っている」。ビジターの際には、ブルペンでティー打撃なども行うという。

5月3日の中日戦(ナゴヤドーム)の第1打席では、ファウルを打った際に愛用のバットが折れてしまった。代わりに急きょベンチから渡されたのは、大下が使用しているバット。自分のものとは、重さも長さも違っていたが、カウント1-2から先発又吉の5球目、146キロの直球を中前打とした。「すごく感触がよかった。その後の、ライトフライもけっこう飛んだ。これからも、大下のバットを借りるつもりです」と笑顔。強力なヤクルト打線で、投手の存在感もキラリと光っている。【ヤクルト担当 保坂恭子】

ヤクルト対DeNA 3回裏ヤクルト2死、上茶谷から左前打を放つ原(2019年4月2日撮影)
ヤクルト対DeNA 3回裏ヤクルト2死、上茶谷から左前打を放つ原(2019年4月2日撮影)