新たな職場で胸を張る。オリックス岩橋慶侍(けいじ)打撃投手(29)は今キャンプ、精力的に汗を流す。「また野球ができたので幸せです。何か携われる場所があれば…と思っていたので」。ユニホームを着る生活を求めていた。新たな背番号「100」が輝いている。

本心を打ち明ける。「まだ野球がしたかったんです。何も考えず、思いっきりボールが投げたかった」。

13年ドラフト4位で京産大からヤクルトに入団。プロ初登板した14年5月15日の巨人戦(東京ドーム)では、阿部、村田から連続三振を奪う会心デビューを飾った。新人年は17試合に登板し、1勝0敗1セーブ、4ホールド、防御率2・57と存在感を示した。17年9月8日の巨人戦(東京ドーム)では先発でエース菅野とも投げ合った。敗れはしたが、6回2失点(自責0)と、互角に渡り合った。

華やかなプロ生活に、体は悲鳴を上げた。19年7月。左肘を痛め、握力が低下した。「日常生活も怪しかったんで…」。トミー・ジョン手術を決断。19年9月、左肘にメスを入れた。だが、現実は厳しかった。その年のオフ、戦力外通告を受けた。「トライアウトも受けられる体ではなかった。でも、何も悩まなかったですよ。仕事しながら、絶対、リハビリしようと」。

失意の中、声をかけてくれたのがオリックスだった。20年1月に球団職員として採用され、コミュニティグループに配属された。「仕事終わり、京都のリハビリ施設に通って、100%に近い状態まで」。そして左肘の良化を待ち、今年、満を持して打撃投手に転身。多くの人に支えられ、再びユニホームに袖を通して“現場復帰”した。

妻への感謝を忘れない。「一番近くで…。現役生活でも、手術後もずっと」。学生時代から支えてくれる愛妻が、第2の野球人生を後押ししてくれる。20年11月に第1子となる長女が誕生。まだまだ、頑張る理由がある。【オリックス担当=真柴健】

※ツイッターアカウントは@nikkan_mashiba