わが意を得たり。そう書けばおまえが何をエラそうに言うとるねんと言われそうですが、本当に同じ思いだったのでそう書かせていただきます。

 「代打の神様」として知られる阪神川藤幸三OB会長(66)が13日に話したことです。

 同じこのネット内で阪神担当佐井記者が書いた記事でも読めますが、ようするに川藤会長は怒っているわけです。

 いわく最近の阪神の新聞記事について「(金本)監督の話題ばかりやないか。監督の話題がシーズン中にもあるようではあかん! 選手や! いつまで監督の話をしているんや、オレらの方を向かんかい、となってくれんと」。

 はっきり言っておとなしかった和田前監督の時代に、現場の虎番記者たちはともかく、周辺は少しやきもきしていました。それが金本監督の登場で一気にムードが変わりつつある。その期待で、関西では日刊スポーツをはじめ、金本監督報道一色になっています。

 もちろん監督が目立ってもいいのですが、プレーするのは選手。肝心の選手たちが目立たなくては意味がないという川藤会長の考えです。同会長がこういう話をするのには自身の経験があるからです。

 30年以上前、現役時代の川藤会長は今のままのスタイルで、こういう書き方をするのも失礼ですが、レギュラーでないにも関わらず、ベンチでふんぞり返っていました。そのときにある大物がフラリと姿を見せたのです。その人はこう言ったそうです。

 「ほう。お前が川藤か。なんや、監督がどないしたんじゃいという態度でおるらしいやないか。でもな。それでええんや。阪神はそういうヤツがおるとこなんや!」

 そう言われて、川藤会長は本当にうれしかったと言います。その人こそ藤村富美男、ミスター・タイガース、その人だったのです。

 しかし、この言葉はなかなか微妙です。聞き方によっては、責任者である監督よりも選手に力点があるようにも聞こえます。実際、過去をさかのぼれば、監督が選手に遠慮しているような場面もありました。逆に、星野仙一元監督の時代などは監督が絶対。選手はみんなピリピリしていました。

 どちらがいいのか。

 答えは簡単。

 どちらも必要、というか目標に向かっていれば自然とそういう形になっていくはずなのです。

 監督は上から厳しく指導する。選手は内心、それに反発しても「これでどうだ!」と結果で応える。それが続けば、監督も「あいつには言わなくても分かっているな」となる。そうすることで、チームが強くなっていくのだと思います。

 実際、星野阪神のときも選手はピリピリしていたと書きましたが、同時に明るくやっていました。やればやったで褒められる、ミスすれば怒鳴られる。なんだかよく分からないプレッシャーのようなものはなく、シンプルに戦っていたのです。

 金本監督に期待されているのもそういうムードづくりでしょう。また、彼はそれができる人物だとも期待します。すべては開幕してからですが、まずは2週間後に迫ったキャンプを楽しみにしましょう。