「オリックス、どないなっとんねん?」

 我々、古い記者が近頃、現場で顔を合わせると必ず口にする言葉です。

 米大アスレチックスFAの中島裕之内野手(32)の争奪戦に3年総額12億円で勝利したと思ったら、平野佳寿投手(30)が3年9億円プラス出来高払いでサイン。

 他にもトニ・ブランコ内野手(34)、ブライアン・バリントン投手(34)の実績組を相次いで獲得。バリントンは1億5000万円の単年契約、ブランコは2年契約の総額5億円らしい。さらにはFAで日本ハムから小谷野栄一内野手(34)を3年総額3億円でも取った。

 日刊スポーツ報道によれば「去就が注目されるエース金子の残留資金を含めれば用意するのは総額37億円」だといいます。

 私がオリックスを担当していた90年代半ば、当時は「ブルーウェーブ」でしたがイチローを中心に魅力的なチームだったけど、その裏で球団フロントは苦労していた。

 当時、球団代表だった井箟重慶さんとは、今でもお茶を飲んで話を聞くことがあります。先日も苦笑を浮かべながら述懐されていました。

 「選手枠は70人なんだけど本社の意向で60人でやれ、と指令されていましたね。どうしても60人を少し出てしまうんですが、しかられたもんです」

 今もすごいが当時のオリックスも有力企業で本社におカネはあった。それでも独立採算を要求され、球団フロントは大変だった。我々もそんな状況に「ケチックス」なんて悪口をいった記憶もあります。

 それを思えば隔世の感があるけれど、現在のオリックス・バファローズはいわゆる球界再編の末、生まれた合併球団。当時は球団存続へ選手の高年俸も課題になったのですが…。

 選手を見ただけでは一瞬、どこのチームか分からなくなったような気もしますが、勝っていないチームが勝てば球界全体が盛り上がるのは間違いない。豪華メンバーでの戦いぶり、注目します。