仙台育英が仙台三を下し、2年ぶりの夏4強入りを決めた。エース右腕佐藤世那(3年)が先発も、立ち上がりから3連打を浴びるなど、2回6安打2失点で降板。それでも後を継いだ百目木(どめき)優貴(3年)が、3回から5イニングを無安打無失点4奪三振の好救援。7回コールド勝ちを導いた。

 俺がエースだ! 3回から緊急登板した百目木が、7回までの5イニングを無安打無失点のほぼパーフェクトに抑え、勝利に導いた。初回2失点で振るわずのエース佐藤世に代わり、キレのある直球を中心に緩く落ちるようなカーブも織り交ぜて快投。出した走者は死球1つだけで、三振も4つ奪った。「変化球でカウントも取れたし、コースも決められた。いい結果が出せたかな」とはにかんだ。

 4カ国の血が流れる新エースだ。母マリリンさん(46)はフィリピンとスペインのハーフ、父満さんは日本と韓国のハーフという両親の間に生まれた。だが、その事実を知ったのは今大会の1週間前。「自分はずっと日本とフィリピンのハーフだと思っていましたが違ったみたいで。仰天でした」と明かす。さらには「父は青森山田で投手だったとも(母から)聞いています」と驚きの連続だった。

 「だからこうして投手をやっているのかと思うと不思議です」。両親はすでに別れているといい、現在は母と妹と暮らす。父とは「幼稚園の頃以来会ってない」が、だからこそ新たな目標ができた。「育英でエースになり、甲子園で活躍する姿を父に見てほしい」。

 聖地まであと2つ。佐々木順一朗監督(55)は「この1カ月間は百目木がエース」と評するまでに成長した。経験を積み「世那に負けないような自信もついてきた」と百目木。運動神経バツグンで「孫悟空」(佐々木監督)とも呼ばれる男が、チームを引っ張っていく。【成田光季】

 ◆百目木優貴(どめき・ゆうき)1997年(平9)8月28日、仙台市生まれ。小3から野球を始める。茂庭台中では大白シニアで主に投手と中堅手。仙台育英では2年秋からベンチ入り。170センチ、64キロ。右投げ右打ち。家族は母の百目木マリリン・デビリアさん(46)と妹。