磐田南もシードの駿河総合を破った。背番号3の広川葉(よう=3年)が公式戦初完投を完封で飾り、プロ注目最速145キロ右腕の杉山一樹(3年)に投げ勝った。

 磐田南が、192センチのプロ注目右腕を頭脳で攻略した。映像で杉山一の投げおろしの角度を解析。導き出した解答として、打席を3メートル前にし170センチの選手がマウンドから投げることで目を慣らしたという。杉山一の制球が定まらなかったこともあったが、9四死球を選び6回途中で引きずり降ろした。

 対照的に変則左腕の広川は、左右の違いはあれど元ヤクルト守護神の林昌勇を意識した腕の振りで内外角に投げ分け4安打に抑え、三塁を1度しか踏ませなかった。「投球のことしか考えなかった」と広川は話すが、2-0で迎えた7回には試合を決める3点弾も放った。「とにかく思いっきり振ろうと。最高です」と笑顔だった。

 広川は基本的に野手だ。「投手の練習をしていないので」とブルペンにも入らない。登板は前日に伝えられたが、わずか10球を投げただけの一夜漬けでマウンドに上った。広川は「ずっと投げたいと思っていた」と、大役の任命に見事に応え満足そうだった。【加納慎也】