前橋育英(群馬1位)が、5-1で横浜(神奈川1位)を下し初優勝を飾った。最速144キロ右腕のエース佐藤優人投手(3年)が、8安打されながら1失点の粘投。2学年上のOB西武高橋光から学んだ気持ちの強さで、強力打線を封じ込めた。優勝した13年夏以来の甲子園出場へ向けて弾みをつけた。横浜は、ドラフト上位候補の藤平尚真投手(3年)が3連投したが実らなかった。

 2年前、先輩を見て学んだのは「強い気持ち」だった。佐藤は、強打を誇る横浜打線から逃げなかった。「(西武高橋光は)相手に負けない気持ちで向かっていた。自分も今日は気持ちで負けないよう、攻めるところはしっかり攻めました」。13年夏の甲子園優勝投手から受け継いだ「背番号1」が、今春初完投で初優勝へ導いた。

 抜群の制球でコーナーをついた。連打は1度だけ。4番村田、5番申を完璧に抑え、準決勝で21安打13得点を挙げたマシンガン打線に自分のリズムで投げ込んだ。1月にケガをして投げられない時期もあった。春季県大会は振るわず、救援のみ。コントロールが定まらず防御率は4点台だった。「勝てて良かったです」と、安堵(あんど)の表情を見せた。

 4番の三井朋大外野手(3年)、主に2番を打つ伊藤雄大内野手(3年)ら主軸をケガで欠きながら優勝した。荒井直樹監督(51)は「雰囲気は(甲子園で)優勝した時と似ているけど、今の方が層は厚い。この経験を生かして、もっと強くなって夏を迎えたい」と言った。チームは初優勝の栄冠とともに、「自信」を手にした。【和田美保】