磐田東の加藤修平(3年)は、エース右腕として最速142キロ、打っては高校通算25本塁打の逸材だ。すでにプロ8球団が視察。昨秋までパワー一辺倒だったが、力みも抜けて確実性もアップ。悲願の甲子園初出場に向け、投打でけん引する覚悟だ。

 甲高い金属音とともに打球が、外野の頭を越えていく。5月の練習試合で、加藤はプロのスカウトが見守る中で6戦5発。グングンと調子を上げてきた。

 加藤 投打、ともにいい感じで安定してきました。以前は勝負どころで力みすぎて球が高めに浮いたり、打席で体が開きがちでしたが、今は自然とリラックスして臨めています。

 177センチ、83キロ。下半身のガッチリした昔ながらの野球選手体形で、天性のパワーに頼ってきた。掛川西と浜名で春夏通算4度の甲子園出場を誇る山内克之監督(61)も「昨秋までは力任せで『自分が、自分が』という感じでしたが、今は力みがなくなり、投打ともにいい影響が出ていますね」と成長を認めている。

 4番から3番への打順変更も心理的負担軽減になり、5月末までに通算本塁打は25本。制球にも安定感を増した。最速142キロの直球に、6種類の変化球。それらを器用に操る加藤は「将来は打者で勝負したいですが、最近は投球にも自信が出てきました」と手応えを口にした。

 今春は、西部地区大会直前にインフルエンザを発症。鈴木瑛斗捕手(3年)ら主力も感染し、まさかの初戦敗退に終わっただけに、夏にかける思いは強い。「秋(県2回戦敗退)も春も悔しい思いをした。絶対に甲子園に行きたいです」。「脱力」で成長した加藤が「全力」で甲子園切符を取りに行く。【鈴木正章】

 ◆加藤修平(かとう・しゅうへい)1999年(平11)3月28日、富士市生まれ。小2から田子浦ヤングファイターズで競技を始める。田子浦中時代は静岡蒲原リトルシニアに所属。磐田東では、1年春の県大会から7番右翼手でレギュラー出場。177センチ、83キロ。50メートル走6秒1。血液型0。