京都初の女性監督、洛南・山村真那教諭(26)が、就任2度目の夏に臨む。小学6年から始めたソフトボールの競技経験をきっかけに、昨年4月に同校の硬式野球部監督に就任。部員25人を率いて初の1大会2勝、監督としての公式戦初勝利を目指す。

 就任2度目の夏が来る。スケジュール帳には、京都大会までの予定が几帳面(きちょうめん)な字で書き込まれている。「普段からきちんと」を山村監督は大事にする。

 翔鸞小6年から神戸親和女子大卒業までソフトボールを続けた経験をきっかけに、体育の非常勤講師で赴任した山城(京都)で、同校監督に誘われ野球部コーチに。体育科教諭の正式採用で移った洛南でもコーチになり、前監督の退任で昨年4月に後を継いだ。

 昨夏は東山に初戦でコールド負け。自らノックを打ち、成長に気を配ったが「3年生に何もしてやれなかった申し訳なさが残りました」。それでも新チームの秋はすぐに始まった。

 毎日の練習時間はほぼ2時間半。短時間集中型を目指すからこそ「練習中に歩いているのを見ると、走りなさ~い! と大声を上げたくなる」。ソフトボール部の主将時代は当たり前の叱咤(しった)を、ちゅうちょした。「彼らの求めるレベルに自分が達していないことが引っかかって」。焦燥感が生まれた。

 そんなときだ。山城のコーチ時代の監督で、今はコーチで洛南を支える井上浩司さんにこんなことを言われた。「今できることを一生懸命にやろう。野球を勉強しながら、できることを増やしていこう」。金本阪神の試合も、野球を勉強する時間になった。

 今年5月の石川遠征。津幡との練習試合の終盤、ピンチが訪れた。捕手の長野高明主将(3年)はベンチに向かい、投手交代を訴えてきた。だが監督は「タイムをかけなさい」と指示。「高校から投手をやった選手時代の経験で、交代させられる投手のつらさは分かる。苦しいときこそ踏ん張れるエースを育てたかった」。続投のエースはピンチを乗りきった。試合にも勝った。試合後、長野は「自分が焦っていました」と監督に謝った。山村監督も選手も自信を持ち帰ることができた。

 教え子に伝えたいのは「普段を大事にすること。それは野球の上達にもつながる」。監督自身も毎日の充実に力を尽くす。最近は練習後に週に1度、書道教室に通い始めた。毎日をリセットし、グラウンドへ。2度目の夏は13日、2回戦から始まる。【堀まどか】

 ◆山村真那(やまむら・まな)1990年(平2)3月2日、京都市生まれ。翔鸞小6年からソフトボールを始め、衣笠中、嵯峨野(京都)、神戸親和女子大とソフトボール部。卒業後、2年間山城に勤務し、14年から洛南へ。15年4月に同校の硬式野球部監督に就任した。好きな選手は広島大瀬良。趣味はスノーボード、ドライブ、料理、映画など。165センチ。右投げ右打ち。体育科教諭。