東東京では、最速148キロ左腕の二松学舎大付・大江竜聖投手(3年)が1安打16奪三振で小山台を完封。

 二松学舎大付(東東京)の大江が、1球で目を覚ました。初回、先頭打者への初球で痛烈な左前打を浴びると「油断してると打たれるんだなと思った」。スイッチを入れ直し、伸びのある直球を中心に攻め続けた。その後は1人の走者も許さなかった。119球、無四球で完封した。「いつも初回が苦手で、回を追うごとにエンジンがかかった。最後までいい感じでいけた」と胸を張った。

 圧巻の奪三振ショーも見せた。早いカウントで追い込み、2回2死から4回2死まで6者連続三振。立教池袋との3回戦で0-10から逆転勝ちするなど、今夏4戦52得点の小山台に手も足も出させなかった。9回まで球威は衰えず、最後の打者も得意の内角直球で空振り三振。「後半は三振を狙った。(16奪三振は)野球をやっていて取ったことのない数字なので、うれしいです」と喜んだ。

 「やる気スイッチ」がオフの時は、悠々自適に過ごす。大江のリラックス法は「グラウンドの周りを散歩すること」。前日18日も「午後にのんびり風景を楽しみながら、30分くらい歩いた」。1年時からエースを任される左腕は、常にフル充電でマウンドに立つ。

 見据えるのは3季ぶりの甲子園だけだ。この日は、走者がいない場面でもクイックを確認した。「決勝で関東第一が来ると思うので、その前に万全にしておきたかった」と言った。ネット裏にプロのスカウトが陣取っていても「今は1球1球悔いなく投げることと、甲子園のことしか考えていない」ときっぱり。大ブレーク中の先輩・広島鈴木にあやかる「神ってる投球」で、ライバルをねじ伏せる。【鹿野雄太】