“中田ネット”直撃場外弾-。第89回選抜高校野球(19日開幕・甲子園)に出場する札幌第一(北海道)は9日、練習試合で智弁和歌山を6-4で下した。主砲・高階成雲(たかしな・なぐも)左翼手(2年)が推定130メートル特大アーチを放った。打球は日本ハム中田翔内野手(27)が大阪桐蔭時代に場外弾を打ったことから設置された、高さ15メートルの防球ネット最上部に当たり場外にこぼれた。甲子園に春夏計32回出場、3回の優勝を誇る強豪を驚がくの1発で破り、甲子園へ弾みをつけた。

 2-0で迎えた5回裏1死一塁、高階が相手左腕のチェンジアップをたたくと、打球は一直線にライトへ伸び、スタンドの奥に消えた。智弁和歌山の右翼手は1歩も動かず、振り向きもしない。無観客試合のため、外野フェンスの向こう側の隙間から観戦していた地元高校野球ファンの塩崎智樹さん(18)は、目を丸くしながら証言した。

 塩崎さん 驚きました。防球ネットの一番上に当たって、球場周りの道路の奥にある芝生に落ちました。地元では(日本ハムの)中田選手が住宅に打ち込んだためにできたネットだと誰でも知っています。それを越えてくるんですから、すごい。

 衝撃の1発は、主砲の意地から生まれた。前日8日の初芝橋本戦では、指名打者で出場した堀田賢吾(2年)がチームの今年最初の本塁打を左翼スタンドにたたき込んだ。誕生日が同じ10月10日で、練習ではトスバッティングのパートナーを務める親友の本塁打に刺激を受けた。「(菊池雄人)監督にも『ロング(長打)がほしい』と言われていましたし、堀田が打ったので負けられない気持ちはあった」という。