日大山形が鶴岡東を4-3で下し、3年ぶりの準決勝進出を決めた。0-3で迎えた6回に斎藤史弥内野手(2年)の公式戦初本塁打(3ラン)で追いつき、この回4点を奪って逆転勝ち。東北大会出場に王手をかけた。

 目の前に広がる慣れ親しんだ風景に、背中を押された。6回裏無死一、二塁、打席に入った斎藤史は低めの直球をすくい上げる。打球は右中間スタンドへ一直線に伸びていく。その先には母校である鶴岡四中の体育館がそびえ、立派に成長した卒業生の打球を待ち構えた。「体がうまく回転してくれた。地元なんで気持ちが入りました。打ててよかったです」と、笑顔の花が咲いた。

 「あのころ、奥村さんを超えようと思い日大山形を選んだ。強く振ることだけ考えて打席に入った」。13年夏の甲子園でチームを4強に導いた、同じセカンドの奥村展征(21=現ヤクルト)に衝撃を受けたのは中1の夏。あこがれの先輩に追いつきたい、その一心で月山を越え、内陸へ向かった。ここまで不振だったが、この一撃で吹っ切れただろう。荒木準也監督(45)は「だれも打つとは思っていなかった。嫌な流れだったけど、あれで盛り返して一気に逆転できたことが大きい」。奥村の師は、目を細めながらたたえた。【下田雄一】