<高校野球・春季青森県大会:八戸西8-0五所川原工>◇24日◇決勝、3位決定戦◇青森県総合運動公園野球場

 3位決定戦で八戸西のエース向祐貴(3年)が、五所川原工を相手にノーヒットノーランを達成した。打者30人に3四死球、10三振の114球で記録。9回には自らホームランを放ち、記録達成に花を添えた。試合は8-0で勝ち、3年連続5度目の東北大会(6月5日開幕=福島)出場を決めた。決勝は光星学院が3-2で弘前学院聖愛を振り切り、3年ぶり9度目の優勝を飾った。

 最後の打者を三振に切って取ると、向は「よっしゃ!」と雄たけびを上げた。速球とカーブ、スライダーを制球よく決め、相手打線を抑え込んだ。外野に飛ばされたのは4つだけ。夏の青森大会では8人が記録しているノーヒットノーランだが、春の県大会では関係者が「記憶にない」という快挙達成だ。

 「東北大会出場が決まる試合で気合が入った。球の切れ、緩急、制球とも、うまくいった」と向は声を弾ませた。無安打は7回、仲間に言われて気がついた。「記録より、あと2回をゼロに抑えなきゃと全力で投げた。記録は、たまたまです。好守備のおかげ」と無失策のバックに感謝した。

 入学間もない1年時の春季八戸地区予選で、光星学院を5安打1失点に抑え勝利。衝撃的デビューを飾った。投げない時は一塁手で4番打者だが、今大会はノーヒットが続いていた。それが9回、大会最後の打席で左翼席に豪快なホームラン。182センチ、89キロの堂々たる体格、定評のあるマウンド度胸とともに、劇的なことがついて回る。

 自宅は、光星学院のすぐ近くにある。センバツの時は、同校校舎に掲げられた出場祝いの垂れ幕を横目に毎日、通学した。「すごいなと思いながらも、夏は絶対倒して甲子園に行きたいと思った。その前に東北大会で、打倒私立です」。3年連続出場だが、過去2年は登板の機会がなかった。「ノーヒッター」の看板を背に、向が東北の強豪に向かって行く。【北村宏平】