<高校野球・秋季北海道大会:札幌日大7-0札幌新川>◇10日◇札幌地区Bブロック◇2回戦

 札幌日大が、パワーあふれる主砲の一振りで札幌新川に7回コールド勝ちと圧倒した。1回、4番近江洋紀左翼手(2年)が先制の右越え2ランを放つなど打線をけん引し、快勝へと導いた。右の握力86キロを誇るパワーを生かした「怪力くん」が、高校通算9本目の本塁打で打線を勢いづけた。11日の3回戦で、春に敗れた東海大四への雪辱を期した。

 初回、札幌日大の4番近江のバットが火を噴いた。札幌新川・桑名の初球を引っ張った打球は右翼席に弾んだ。公式戦では2本目も、練習試合も含めた高校通算では9本目の1発。「初球にヤマを張っていた。手応えはバッチリでした」と笑った。

 178センチ、83キロのがっちりした体に秘めたパワーが、長打力の源になる。今年1月に背筋力を測ったが、部の測定器のメーター(240キロ)を振り切り計測不能だった。握力も右86キロ、左78キロと怪力を誇る。当然、バットもチームで一番重い「近江専用」の推定920グラムのもの。このバットで7回には右中間を割る二塁打も放った。

 最初から大きかったわけではない。「小学生のころは細くて…。太りたくて太りたくて仕方がなかったんです」。それを実現するため、ご飯は最低でも丼2杯を自己に課した。最初は食べられなくて「つらかった」と振り返るが、やり通した結果、今のパワーを身に付けた。

 森本卓朗監督(28)は「入学時から飛ばす子だった。1年生のうちから3年生の練習に加えて育てました」と話す。学年に2人程度の“エリート育成コース”で腕を磨いた。全体練習終了後も学校、自宅で毎日最低200本の素振りを繰り返し、夏の5番から4番へと上り詰めた。

 11日の3回戦で当たる東海大四は、今春の地区予選でコールド負けを食らった相手。「先輩たちの悔しかった思いもぶつけたい」と怪力くんが腕をぶした。