第83回選抜高校野球大会(3月23日~12日間、甲子園)の出場校を決める選考委員会が28日、大阪市内で行われ、出場32校が決定する。一般選考で29校、21世紀枠は3校。今年は候補として浮上している学校に、商業高校が21世紀枠の西都商(宮崎)1校しかない。時代の流れか、高松商、広島商など甲子園を沸かせてきた商業高校が、春夏を通じて初めて出場校ゼロになる可能性がある。午後3時に21世紀枠の3校が発表され、一般選考は北海道地区から順次発表され、午後4時ごろまでには全32校が出そろう見込み。

 秋田商を率いて04、06年センバツで8強入りを果たした青学大・小野平シニアアドバイザー(61)は、寂しそうにこう切り出した。「私が現役のころは『四国4商』に強力なイメージがあった。商業高校が高校野球を引っ張っていたが」。高校野球が歴史の転換期を迎えつつある。

 1924年(大13)のセンバツ第1回大会の優勝校は高松商(香川)だった。松山商(愛媛)、高知商、徳島商、広島商、県岐阜商、銚子商(千葉)など、名門と呼ばれる多くが商業高校だ。現在も「商」の名を残す学校だけで、春夏合わせ37度の甲子園優勝がある。だが、今年は候補校に1校だけの状況。

 少子化、それに伴う学校の統合や普通科設立での校名変更で「商」のつく学校は減少傾向にある。また就職難が、生徒や親の考えに影響を与えている。大卒で就職を目指すため、普通科志向が強い。78年から90年まで横浜商(神奈川)でコーチを務め、83年に春夏準優勝をするなど黄金時代を築いた横浜・小倉清一郎コーチ(66)は「商業だと進学に不利、という感覚があるのかな…。(選手の)親としては、プロに行けないのなら大学に行っていいところに就職してほしい、という考えもあると思う」と話した。

 私学が強いのも理由の1つだ。「各都道府県で私学に(出場実績や甲子園成績で)圧倒されている。選手は名門より、今の強豪校を選んで進学する」と小野氏。今日28日、センバツ代表32校が決まる。21世紀枠候補の西都商は商業高校のとりでを守れるか。【清水智彦】