<高校野球春季関東大会:習志野7-0甲府工>◇18日◇決勝◇市原市臨海球場

 2年連続で決勝に進出した習志野(千葉)が甲府工(山梨)を破り、10度目の出場で初優勝を果たした。今大会初登板の大野駿投手(2年)が、被安打2で公式戦初完封。打っては1回に一挙4得点するなど、下位まで切れ目のない11安打で畳み掛けた。甲府工は、2ケタ安打を続けてきた強力打線が沈黙。54年ぶりの頂点はならなかった。

 昨年に続く決勝で、前回準Vの習志野が雪辱した。栄光のマウンドに立っていたのは、今大会初登板の大野。2年生右腕はカーブ、スライダーに交えたフォークを巧みに沈め、甲府工打線の打ち気をそらした。6回まで被安打ゼロ。公式戦初の2安打完封に「何を投げたかあんまり覚えてない。でも優勝のマウンドにいられてうれしいです」と初々しく喜びを表した。

 援護も頼もしかった。大野以外の先発全員が安打。特に、不振の3年生に代わって急きょ4番に抜てきされた1年生、松山大志内野手はチーム最多の3安打で期待に応えた。1回には、松山からの4連打で一気に4点を得た。大胆な采配で初の関東NO・1に導いた小林徹監督(49)も「出来過ぎです」とたたえた。

 だが7-0の圧勝も、夏への序章にすぎない。連戦を見据え、投手陣は4試合すべてで違う先発を立てた。同監督は「層が厚いなんてとんでもない」と謙遜したが、決勝でエース泉沢涼太(3年)の出番がないのは、粒ぞろいの証拠だ。

 「これが実力なのかそうじゃないのか。この大会の意義は夏に分かりますよ」と同監督。2度の甲子園優勝歴を持つ千葉の名門が、「関東王者」の冠を背負って灼熱(しゃくねつ)の夏に向かう。【鎌田良美】