兄を超えるぞ!

 4年ぶりに出場した日南学園(宮崎)が今日6日、第3試合で優勝候補の聖光学院(福島)と対戦する。ナインは初戦に備え5日、神戸市内で約2時間練習した。10年前に出場したオリックス寺原隼人投手(27)の弟寿隆投手(3年)と、横浜井手正太郎外野手(27)の弟寛人投手(3年)がともに控え投手としてベンチ入り。兄たちが作った夏8強を超える成績を目指す。

 小学生のころ、兄たちの甲子園での勇姿を目に焼き付けた弟たちは10年後、ようやく同じ場所にたどりついた。背番号11の寺原と背番号17の井手。兄同士が同級生で甲子園出場を果たし、ともにプロへ進んだ。10歳離れた弟同士も同級生で甲子園へ。「不思議な縁ですよね。2人のことは小学生の頃から知っていましたよ」と10年前はコーチだった金川豪一郎監督(34)も結びつきの強さに感心する。

 兄の影響もあり当然のように野球を始め、日南学園進学も自然な流れだった。「10年前に見た甲子園は大きかったという記憶があります」と寺原。甲子園を目指したのも10年前に兄の応援に訪れた経験から。甲子園出場を決め、寺原は兄から「頑張れよ」とメールをもらった。井手も家族を通じて連絡を受けた。

 甲子園練習であこがれのマウンドに立った。兄は10年前、甲子園最速(当時)の158キロをマークした。「よくここであれだけのスピードを出せたなあと思いました」と寺原は兄を思い起こした。

 背番号は2ケタだが、継投で宮崎大会を制したチームにとっては欠かせない戦力だ。「甲子園では(兄たちの)8強以上にいきたいです」と井手は「兄超え」を宣言した。寺原は冬に兄に買ってもらったグラブをつけて甲子園のマウンドに立つつもりだ。「オールスターで投げるのをテレビで見て調子よかったなと思いました。今度は僕が負けずに頑張りたい」と寺原。

 優勝候補を破って今度は甲子園から兄へエールを送る。【前田泰子】

 ◆寺原寿隆(てらはら・としたか)1993年(平5)7月20日、宮崎市生まれ。小3から「宮崎ヤンキース」で野球を始め、赤江東中では野球部に所属。小学生からずっと投手。日南学園では1年夏からベンチ入りしている。174センチ、82キロ。左投げ左打ち。

 ◆井手寛人(いで・ひろと)1993年(平5)8月21日、都城市生まれ。小3から野球を始め、紙屋中では「都城リトルシニア」で投手と外野手を兼任し中2のとき全国大会4強。日南学園では1年秋、2年秋に控え投手としてベンチ入り。178センチ、68キロ。右投げ右打ち。