約1万3000人の卒業生が加盟する宮城県石巻工業高校同窓会が、甲子園に初出場する後輩たちを支援する。21世紀枠で選抜高校野球大会(3月21日開幕)初出場を決めたことを受けて27日、甲子園出場実行委員会の名義で急きょ郵便口座を開いた。野球部員や全校応援の遠征費用で5000万円を予定しているが、被災した地元企業やOBからの高額寄付は見込めず、全国から協賛金を募る。

 甲子園初出場を決めて喜ぶ野球部員たちの陰で、OBたちが動きだした。石巻工高同窓会は、母校が21世紀枠で候補として挙がった直後、09年に同枠で出場した宮城・利府高に相談。甲子園出場を決めた場合、約5000万円の遠征費用がかかる見通しであることが分かった。東日本大震災で大きな被害を受けた地元企業や団体から、同額を集められるのか。暗中模索の状態で、まずは郵便口座を開設した。

 1963年(昭38)開校の1期生で、同窓会会長を務める太田卓男氏(64)は「地元は明るい話題に飢えているので、ある程度の応援をもらえるとは思うが、同窓会主体でどれだけ集められるかは疑問。全国から応援をいただければありがたい」と話した。今月31日に野球部OB会や親の会の会員も集め、第1回甲子園出場実行委員会を開催。今後の集金方法について話し合う。石巻市内で協賛金の振込用紙を配布するとともに、同窓会のホームページ上で振込用紙を印刷できる機能を加え、全国から協賛金を募る予定。

 震災で部室が半壊し、グラウンドは津波で浸水。昨年9月の台風による水害も受けながら、野球部は同10月の秋季東北大会に初出場した。地域に希望を与えた野球部員のために、同窓会も立ち上がった。太田氏は「1期生にとっては、初夢みたいなもの。本当にうれしい。全国に散らばった同窓会メンバーをつないで、バックアップをお願いしたい」と力を込めた。前会長と副会長の1人が震災で犠牲になったこともあり、「会長の仕事を気負ってやってます」と明かした。

 振込用紙で協賛金を募った後、野球部から御礼状を返送し、感謝の気持ちを伝える意向。郵便口座番号は02250・2・126491、口座名義は石巻工業高等学校甲子園出場実行委員会。現金は校内の事務局で直接受け付けるという。