<高校野球東東京大会:岩倉2-1小山台>◇24日◇準々決勝◇神宮球場

 最後は138キロの速球で見逃し三振に仕留めた。岩倉の背番号7、秋月健太投手(3年)の145球目だった。最後まで疲れは見せず、9回は3者連続三振。自己記録を2キロ更新する141キロもマークした。秋月は「7回ぐらいから自分の投球ができました。最後まで1人で投げるつもりでした」。岩倉に9年ぶりの4強を導いた右腕は、最後まで頼もしかった。

 夏にかける思いは誰よりも強い。昨秋、右肩に炎症を起こし、4月中旬まで投球ができなかった。背番号1を失い、主将ながら春季大会は控えの一塁手に回っていた。「1番を失ったことが悔しくて。でもそれがあったからこそ今がある。甲子園では1番で投げたいです」と話した。

 初戦の足立新田戦は2安打完封。最高のスタートを切り、肩の不安も消えた。その試合では中学時代に所属した軟式チーム「東京サニーズ」でバッテリーを組んだ岩田拓実捕手(3年)と3年ぶりに再会した。足立新田の主将だった。試合後、千羽鶴を手渡され「絶対勝ち抜け」と激励されていた。「おう、絶対勝つから」と答えた。

 この日も試合後には小山台から千羽鶴が贈られた。「負けたチームの分も頑張らないと」。秋月には甲子園まであと2つ、負けられない試合が続く。【米谷輝昭】