<秋季高校野球静岡大会:静岡商8-1菊川南陵>◇17日◇2回戦◇浜松球場

 再試合は静岡商が菊川南陵を7回コールドで下し、ベスト8最後の1枠をつかんだ。前日、13安打20残塁と波に乗れなかった打線が、この日は13安打4残塁と着実に加点。1番牧田侑也内野手(2年)が3安打1打点、3番小木曽竜三(おぎそ・たつみ)外野手(2年)が2安打3打点と、この夏の主力の活躍で一気に押し切った。常葉学園菊川との準々決勝は22日に行われる。

 同じ失敗は繰り返さない。前日に何度もサヨナラ勝ちのチャンスを逃した静岡商打線が、3点リードの7回に連投の相手エース大井祐輝(2年)に襲いかかった。無死一、三塁から牧田の右前打で1点を追加。犠打で1死二、三塁とし小木曽が右前打で2者をかえした。2死から小木曽が二盗。最後は5番杉本隆幸内野手(2年)の左前に落とす一打で生還し、2時間2分の戦いを終わらせた。

 見城喜哉監督(52)からの叱咤(しった)に発奮した。前日に4時間15分の試合を勝ちきれなかったチームは、学校に戻ってのミーティングで激しく怒られた。一番の標的になったのが、前チームから主力の牧田や小木曽だった。小木曽はソフトボールを始めた小学1年から「初めてあんなに怒られてびっくりした」と振り返る。1安打ながら「2打点あげてたのに…」と貢献した自負もあったが、それは期待されるからこその言葉。この日は打撃フォームを変えて臨み、同点の3回2死二塁では右中間を破る勝ち越しの三塁打など、前日を上回る2安打3打点。「怒られる前にやれってことですよね」と、中軸の自覚を見せた。

 3安打の牧田も「今日は詰めるところで詰められた」と納得顔。1回戦で2失策した守備でも2日続けて安定感を見せた。常葉菊川戦に向けては「自分たちの野球ができるようにしたい」と足元を見詰めた。苦しみながら、それでも勝つ。そして、静岡商は強くなっていく。【石原正二郎】