第85回選抜高校野球(22日開幕、甲子園)に出場する常葉学園菊川(静岡)が17日、愛知・豊川高グラウンドで同校と練習試合を行い、1-9で敗れた。3回に大西優輝内野手(3年)の適時打で1度は追いついたものの、エース堀田竜也(3年)は制球が定まらず、失策も続出して失点を重ねた。試合後にチームは大阪入り。今日18日は甲子園練習を行う。

 常葉菊川が絵に描いたように崩れていった。2回の守備だ。2死三塁から堀田が連続四球でピンチを招くと、今坂僚介内野手(3年)が二ゴロをはじき1点を先制された。3回に同点とするもその裏、先頭の二ゴロを今坂がトンネル。早くもベンチへ下げられた。4回には、1死一塁から堀田が犠打を一塁へ悪送球し、そこから3失点。堀田は予定通りに9回を投げきったものの、13安打9失点の内容に「試合をつくれなかった」と自らを責めた。

 打線では1番登地慶輔外野手(3年)が二塁打2本と前日16日に続き複数安打。大西も2安打と気を吐いたが、チームは7安打で1点とかみ合わない。不振でこれまでの2番から9番に下がった遠藤康平内野手(3年)は5回に左翼へ二塁打を放ったが「打ち方がおかしい」と表情はさえなかった。リズムが悪いとベンチまでおとなしくなる悪循環に。対照的に終始元気の良かった豊川は、センバツの21世紀枠で落選した。甲子園出場校に対する気迫をもろに受けた形となった。

 もっとも、この状況は昨秋と同じだ。県大会決勝で静岡に1-14と大敗しながらも、センバツにたどり着いた。主将の松木大輔捕手(3年)は「このままズルズルと負けるチームじゃない」と前を向き、森下知幸監督(51)も「まだ時間はある。(球児は)1球で変わりますから」と語った。今日18日の甲子園練習に続き、明日19日は愛知で愛工大名電と最後の練習試合を行う。22日の春江工(福井)戦までに改善できるチャンスはいくらでもある。問われているのは技術ではなく精神力だ。【石原正二郎】