DeNA中川颯投手(25)が“二刀流”で輝いた。1点リードの2回2死一塁、中日左腕の松葉のカーブをすくい上げた。ドジャース大谷ばりの構えとフォロースルーで右翼席中段に軽々と運ぶ確信のプロ初アーチ。控えめなデスターシャポーズも飛び出し、桐光学園(神奈川)時代に高校通算26本塁打の打撃力を見せつけた。投げては6回5安打2失点で2勝目。両親らも駆けつけ、地元・横浜スタジアム全体の視線をくぎ付けにした。
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中川颯は会心の一撃でモヤモヤを吹き飛ばした。1点リードの2回2死一塁、初球だった。野手顔負け、アッパー気味の豪快スイングで右翼席中段へ。「芯に当たったので、いくかなと」と確信のフォロースルーでプロ初アーチ。ベンチに戻ると誰にも相談せず、控えめにデスターシャポーズを繰り出し「ちょっとやってみたかった。気持ち良かったです」と浸った。
打撃センスをプロの舞台でも見せつけた。桐光学園(神奈川)時代は通算26本塁打。3年夏の県大会準決勝の横浜高戦でも今や同僚の石川からハマスタの左翼席に3ランを放った。「あの時もほぼ満員だった。打った方向は逆ですけど、フラッシュバックしました」と回想。「本家二刀流」のドジャース大谷を参考に今オフの自主トレでバットを寝かせずに立てる構えに改良し、「ちょっと参考にしてます」と今季NPBでの投手初アーチを決めた。
悪夢を振りほどいた。前回登板の11日阪神戦では強風で守備陣も惑わされて3回9失点。夜も眠れず、自らの過去の投球動画をあさった。幼少期から通い詰めた地元・横浜で大観衆の前で投げられる喜びを再確認。18アウトのうち11アウトをゴロで奪う持ち味の投球を取り戻し、6回2失点にまとめた。「何とか気持ちを立て直して挑めた」と周囲のサポートに感謝した。
少年野球の監督も務めた父貴成さん(53)とは「根っからのアンダースロー」が合言葉だった。小学校から帰ると近くの空き地で週6でピッチング。投げていくうちに自然と腕の位置が下がった。「上投げでマウンドに立った記憶はほぼないです」と挫折したからではなく、王道ど真ん中でサブマリンにたどり着いた。横浜市の実家から観戦に訪れた両親にも本拠地初白星を届け、初のお立ち台で言った。「しんどい思いも多かったですが、ここに立てる幸せをかみしめて、今後も頑張って行きたい」。強打の下手投げ右腕。唯一無二のスタイルを貫いていく。【小早川宗一郎】
◆中川颯(なかがわ・はやて)1998年(平10)10月10日生まれ。神奈川・横浜市出身。桐光学園では甲子園出場なし。立大では1年春からリーグ戦出場し、通算10勝8敗。20年ドラフト4位でオリックス入団。1軍登板は21年1試合のみで、23年は育成契約となりオフに戦力外。DeNAが支配下として契約。184センチ、80キロ。右投げ左打ち。
▽DeNA三浦監督(中川颯のプロ1号に)「飛距離も展開的にも大きなホームランでした。二刀流だね(笑い)。そんな雰囲気ありましたね」



