<センバツ高校野球:大阪桐蔭11-1遠軽>◇28日◇2回戦

 巨人、阪神などがドラフト1位候補に挙げる大阪桐蔭・森友哉捕手(3年)が、4安打3打点で史上初の3季連続優勝へ好スタートを切った。出場校大トリとして初戦に臨み、21世紀枠の遠軽(北海道)を同校春最多11得点で圧倒した。

 森友のバットがある限り、無敵のTOINは止まらない。4安打固め打ちで甲子園通算20安打。通算打率はPL学園(大阪)清原和博の4割4分を上回る4割6分5厘に届いた。「3連覇は目標ですがプレッシャーもある。プレッシャーを与えてもらった方がやりがいがある。期待に応えたいと思うから」とお立ち台で胸を張った。

 金属バットも木製も自在に操り、2キロの鉄バットも楽々と振り抜く。世代NO・1打者は初戦から全開だった。初打席は振り切って中前に落とし、2打席目は逆方向へのクリーンヒット。6回2死一塁の場面では弾丸ライナーで右翼フェンスにぶち当て7点目を稼ぎ出した。

 昨秋の主将就任時はプレーでチームを引っ張ろうとした。だが調子が上がらない。「チームをどうしたらいいのかわからない」と珍しく弱気だった。実は知らず知らず、身体が悲鳴をあげていた。春夏甲子園のあとは18U世界選手権で正捕手。疲労がたまり、不調も無理はなかった。

 周囲から気遣われた。それに気付いた森友は試合でも練習でも僚友に声をかけ、気配りでチームを支えるようになった。「選手としてどれほど結果を出してもてんぐにならない。だからみんな森について行く」と副将の久米は言う。

 春の初戦を控えた21日、藤浪(阪神)が激励のドーナツを差し入れてくれた。「ドーナツパワーですね。最強です」と森友は笑った。前エースも日本中も、見ている。紫紺の大旗を取り返す挑戦が、始まった。【堀まどか】

 ◆3季連続V狙う大阪桐蔭

 甲子園連続優勝校が次の大会にも出場したのは23年夏の和歌山中(センバツ大会開催以前に夏の大会を連覇)、61年夏の法政二、83年夏の池田、99年春の横浜に次いで5校目。過去に3連覇はない。99年春の横浜はPL学園に5-6で初戦敗退しており、春夏連覇校が翌年春にも勝ったのは大阪桐蔭が初めて。

 ▼大阪桐蔭・森友が4安打を放ち、甲子園通算20安打とした。過去の主な捕手では出場全16試合で安打を放った嶋田宗彦(箕島)の27安打などがあるが、森友の通算打率4割6分5厘は、嶋田の4割9厘を上回る。

 強打の捕手では2試合8打数8安打の10割で甲子園を去った76年夏の末次秀樹(柳川商)や、通算6試合で22打数13安打(5割9分1厘)の11年高城俊人(九州国際大付)もいるが、出場10試合以上で見ると森の打率は「ドカベン」こと香川伸行(浪商)の4割を超える。ここまでの出塁率5割3分8厘も香川の4割9分より上だ。【織田健途】