<高校野球群馬大会:桐生第一13-3桐生工>◇6日◇2回戦◇上毛新聞敷島

 桐生第一のエース左腕・石井将希投手(3年)が2カ月半ぶりの実戦登板で復活白星を挙げた。初回に制球の乱れから2失点と不安な立ち上がりだったが、5回3失点にまとめて、チームをコールド発進へと導いた。福田治男監督(51)は「今日は緊張で下半身が使えていなかった。でも指にかかった時の球は素晴らしい」と評価した。

 ヤクルト正田、ロッテ藤岡といった左の好投手を育てた福田監督の目にも希望の光に見えた。身長180センチから繰り出される最速140キロの直球には威力がある。同監督は「専門的な技術や変化球を教われば(プロでも)通用するほどの素質、伸びしろはある」と太鼓判を押した。ドロンと大きく落ちるカーブを得意とするが、「やっぱりストレートで勝負して欲しい」と直球にほれ込んでいる。

 今春の県大会初戦、中央中教校戦で死球を受け、右手甲を骨折した。夏の大会前のけがに「準備ができる」と前を向いた。夕食は白米300グラムで2杯食べていたのを450グラム2杯に変えた。練習も「手は使えなくても走れる」とポール間ダッシュやランニングなどを3時間みっちりとこなした。全治7週間のけがも4週間ほどで完治し、体重も69キロから74キロに増えた。「投げた時の安定感が出てきた」と、けがを乗り越えたエースは手応え十分だった。

 チームは9安打13得点の猛攻で圧勝した。初回は緊張で体が硬くなった石井だが「次は初回から腕を振っていきます」とエンジン全開宣言。2回戦は桐生西と伊勢崎清明の勝者と対戦する。「序盤はストレートで押して、途中から変化球を織り交ぜて打ちとりたい」と話した。大型左腕を擁し、ノーシードから08年以来5年ぶり甲子園を目指す。【佐々木隆史】

 ◆石井将希(いしい・まさき)1995年(平7)7月12日生まれ、群馬県高崎市出身。小学4年から野球を始め、高崎佐野中時代には軟式野球部に所属した。家族は両親と兄が2人。左投げ左打ち。180センチ、74キロ。