<高校野球春季北海道大会:滝川工9-0クラーク>◇12日◇空知地区1回戦◇岩見沢市営

 公式戦初陣で白星はつかめなかった。空知地区で、創部1年目のクラークが滝川工に7回コールドで完敗した。道内初の通信制高校硬式野球部。3月に閉校した駒大岩見沢を春夏12度甲子園に導いた佐々木啓司監督(58)は「ヒットも打ったし、アウトもゲッツーも取れたし、今後に希望が持てる試合だった」と新天地での黒星発進にもにこやかだった。

 1年生8人と3年生1人の部員9人は、4月下旬にそろったばかり。だが、滝川工戦は、助っ人3人を加えた12人が真っ向勝負を挑んだ。2回裏2死から6番高橋良輔投手(1年)が内野安打で初出塁すると、6選手が計7安打を記録。次男の佐々木達也部長(30)とともに見守った佐々木監督は「3年生投手相手によくバットを振れていた」と褒めた。

 唯一の3年生の立花奏夢主将は、グラウンドに立てる喜びを感じていた。1年秋に転校してきた時は野球をあきらめたが、再びチャンスをもらった。練習試合8戦を3勝5敗で臨んだ初公式戦を「試合ができたことが本当にうれしい」と喜んだが、スタンドに母聖子さん(47)の姿を見つけると「勝ったところを見せたかった。悔しい」と涙した。

 専用グラウンドも打撃マシンも、まだない。練習内容は限られる。だが、まずは1歩、踏み出した。立花主将は「夏は旭川スタルヒンでできるように頑張りたい」と、1勝の先につながる地区突破を次の目標に掲げた。【保坂果那】