<高校野球春季福島大会:聖光学院4-0いわき光洋>◇25日◇準決勝◇福島・白河グリーンスタジアム

 聖光学院がいわき光洋を下し、5大会連続10度目の東北大会(6月5日開幕、秋田)出場を決めた。石井成(なる)投手(3年)が8回3安打無失点。今大会から背番号10となった左腕が、連投での先発で結果を出した。

 マウンドには、春先とは違う聖光学院・石井の姿があった。前日24日の準々決勝福島工戦(5回1失点)に続く先発。「オレはできる」。試合前につぶやき、自己暗示をかけていた。「攻めていけた」と、スライダーを中心に8回を無失点。4回1死一、三塁の場面でも精神面は乱れない。一塁走者をけん制で刺すなど、冷静にピンチを断った。

 1年秋から背番号1。2年生までは先輩を頼ってもいい立場だったが、最上級生となり「理想が高くなる自分がいた」と石井は言う。責任を重く受け止めすぎて、気持ちだけが先走った。練習試合では連打を浴び、四死球で崩れた。不調に陥り、今大会の背番号は10。1年秋の県大会でノーヒットノーラン、2年春のセンバツ甲子園初戦で3安打完封した左腕復調の鍵は、心の修正だった。

 背番号1の船迫大雅(3年)に登板機会を与えるため、9回のマウンドを譲ったが、斎藤智也監督(50)は「今日は気合が空回りしなかった」と褒めた。「迷わない投球で成果が出れば」と石井。決勝の日大東北戦、東北大会でも、試合前につぶやきながらエースナンバーを取り返しにいく。【久野朗】

 ◆石井成(いしい・なる)1996年(平8)6月12日、福島県いわき市生まれ。小学2年で野球を始める。中央台南中では、いわき松風クラブに所属し投手。聖光学院では1年秋からベンチ入り。家族は両親と妹。178センチ、78キロ。左投げ左打ち。血液型B。