<センバツ高校野球:千葉経大付7-2常葉学園菊川>◇29日◇3回戦

 千葉経大付のジャンボ右腕、斎藤圭祐投手(3年)が連覇を狙った常葉学園菊川(静岡)の夢を打ち砕いた。優勝候補の大本命から10三振を奪い、2失点完投。県勢13年ぶりの8強入りを決めた。

 千葉・外房沖で鍛え上げた足腰で、甲子園の黒土に踏み込む。184センチ、84キロのジャンボ右腕・斎藤が、優勝候補大本命の前に立ちはだかった。「名前負けはしないように、強気でいこうと思った」。3点先取した直後の1回、直球とツーシームで3者連続見逃し三振に切った。王者の常葉学園菊川を力でねじ伏せた。

 不器用そうな風体で、指先まで神経が行き届く。スライダーを低めに集め、緩急を使った。最速142キロで10奪三振。谷勇哉捕手(3年)は「80%は構えたところにきた」と制球力が光った。初戦は155球で完封。疲れで右肩に張りを訴え、中4日の調整は軽いキャッチボールだけだった。

 投げなくても、ボールを握った状態でランニングをして、感覚を研ぎ澄ました。小学生の時から、午前3時起きで漁師の祖父昭夫さん(76)と一緒に、揺れる船上で足腰を鍛えた。食卓にはいつも売れ残りの伊勢エビが並んだ。3750グラムのジャンボべビーとして生まれた体を、ナチュラルパワーで大きくした。

 斎藤の球威を信じて、チームは「経大シフト」を敷く。右打者に対して左翼手が大きく中堅側に寄り、ライン際を空けた。おもしろいように、長打コースに飛んだ打球を外野手がキャッチ。「監督を信じて、いいところに守ってくれてました」。振り切らせないパワーが、チームを支えた。

 入学時から付ける野球ノートには「常葉対策」を書き込んだ。外出は控え、頭の中を野球で染めた。同姓の早大・斎藤佑樹投手(1年=早実)はあこがれの存在。本家同様、決め球にツーシームを覚えたが、いかつい男に「圭ちゃん」なんて似合わない。本命なきセンバツの中心に、ジャンボ右腕がいる。【前田祐輔】