常葉菊川が守り走り勝った/夏の甲子園
<全国高校野球選手権:常葉学園菊川2-1福知山成美>◇9日◇2回戦
常葉学園菊川が2-1で福知山成美(京都)に逆転勝ちし、春夏通算甲子園10勝、県勢初の7年連続初戦突破を果たした。6回2死まで無安打に抑えられる苦しい展開。0-1で迎えた8回表、2四球を足掛かりに代走松本拓也外野手(2年)の好走塁で一気に逆転に成功した。戸狩聡希(3年)は苦しみながらも、2度の登板で7回0/3で7安打無失点。酒井嵩裕遊撃手(3年)ら野手陣が、好守を連発してエースをもり立てた。次戦は13日午前11時、2年連続8強入りと県勢の夏通算80勝を懸け、3回戦で倉敷商(岡山)と対戦する。
守り勝ち、走り勝った。常葉学園菊川が、散発3安打と苦しみながらも、4季連続で初戦を突破した。大阪入り後に左ひじ痛を発症したエース戸狩が先発も、速球が走らず毎回走者を許す。初球こそ最速136キロを計測したが、2回以降はほとんどが速くても120キロ台。「捕手の栩木(雅暢=2年)のリードがよかった。声を掛けてくれて感謝している。苦しかったけど、バックがよく守ってくれて、うれしかった」。腕を下げる投球でひじの疲れを軽減しながら、どうにか無失点で切り抜けていった。
好守がエースを支えた。5回裏1死満塁。鋭い打球が三遊間を襲うが、酒井嵩裕遊撃手(3年)が逆シングルでゴロを好捕。ジャンピングスローで素早く二塁送球し、6-4-3の併殺を成功させた。「練習通りできた。ピンチでゲッツーが出ると盛り上がる。戸狩が常時128キロとか、これはやばいなと思っていた。とにかく守備で助けたかった」。6回表にはチーム初安打。攻守でチームをけん引した。
6回裏、今度は上嶋健司一塁手(3年)が美技を披露する。戸狩から野島大介投手(3年)に継投も、2死満塁のピンチを迎えた。一、二塁間の右前へ抜けようかという打球を、倒れ込みながら右手を懸命に伸ばした。「1点を取られたら負けると思っていた。気合で捕った。納得のプレーです」。捕球寸前に体の前でイレギュラーしたが、とっさにミットを右翼側に引いていた。
守備で流れを引き寄せると、今度は足攻で逆転劇を呼び込んだ。8回表、降板後に左翼に回っていた戸狩が四球で出塁。犠打で二塁に進むと、続く北島良亮内野手(2年)の打席、ノーサインで三盗に成功した。「(二塁で投球の)タイミングを数えていた」。アウトになれば同点に追いつく好機を逃すリスクに挑んだ。執念で進塁すると、松本の二盗で相手守備が乱れる間に生還した。松本も好走塁でホームを踏み、無安打で逆転に成功した。
9安打を浴びても、3安打しか打てなくても、最後には勝利を収めた。スタンド応援に回った3年生3人は、球場入りするバスの中、ハイタッチでナインを送り出していた。全員野球で合い言葉の「絆」(きずな)を実践した常葉菊川。この強さは本物だ。【斎藤直樹】
[2008年8月10日11時41分 紙面から]
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