<高校野球広島大会>◇11日◇1回戦

 最速147キロを誇るプロ注目の広島NO・1右腕・六信(むつのぶ)慎吾投手(3年)擁する新庄が、盈進に0-3。OBで広島永川勝浩投手(28)2世の六信に史上初の県北からの甲子園の夢が託されたが、初戦で散った。

 六信の、新庄の夏があっけなく終わった。プロ複数球団のスカウトが見守る中、8回

 1/3を8安打3失点。盈進打線から8三振を奪ったが、最速147キロを誇る本格派ぶりは影を潜めた。「チームが負けては何もない」。昨秋の県大会でチームを優勝に導き、今夏も優勝候補の一角に押し上げたエースはショックをあらわにした。

 高校野球初使用のマツダスタジアム開幕戦。エンジンは最後まで不完全燃焼だった。2回だ。先頭の井戸章文外野手(3年)に中前に運ばれ、続く渡辺祥太外野手(2年)にも左前打された。1死後「情報量の少ない」(新庄迫田監督)瀬尾勇登内野手(3年)に前進守備の右中間を破られて、2点三塁打を許した。7回には味方のまずい守備もあり3点目を献上した。

 広島県北部初の甲子園の夢が、あった。OB永川以来の絶対的エース六信がいる。そんな地元の期待と裏腹に、6月に入るとチーム内にインフルエンザがまん延。六信も感染した。大会直前の貴重な1カ月を満足に過ごせなかったチームは、盈進の継投策の前に、散発6安打…。為す術なく初戦で散った。

 迫田監督は、エースをかばった。「大会直前に緩い球も覚えるなど、かえって六信の良さを消してしまったのかも知れない。反省してます」という。基本的にプロ志望の豪腕の持ち味を結果的に封じてしまった。前任の名門広島商で甲子園出場経験もある名将だけに悔いが残る。六信ら3年生は引退するが、この日先発した下級生5人を中心に、甲子園への道を歩み始める。【佐藤貴洋】