<全国高校野球選手権:佐賀学園3-2長崎日大>◇14日◇2回戦

 佐賀学園(佐賀)は主将でエースの峰下智弘投手(3年)が力投、長崎日大(長崎)との九州対決を制した。

 力投を続けた峰下が、マウンドから祈りを込めて、仲間の送球を見守った。わずか1点リードの9回2死、三塁に走者を背負って迎えたラストプレー。相手打者の鋭いゴロに、遊撃手の柴崎翔は一瞬逆をつかれた。だが、必死に踏ん張り一塁に投げ込むと、間一髪で間に合った。「(柴崎)翔也の普段のプレーができれば、アウトを取れると信じていた」。佐賀大会から7連続完投を果たした右腕に、満面の笑みが広がった。

 旧友との対決を制して、波に乗った。中学時代は、地元の佐賀・太良町から約20キロほど離れた長崎の諫早レッズに所属。そこでチームメートだったのが、長崎日大の3番鹿田だ。当時遊撃手だった峰下と、二塁手だった鹿田は打撃でも1、2番コンビを組む気心知れた仲だった。そのときから夢見ていた甲子園での直接対決。1回は今年覚えたチェンジアップで、3回は直球で三振に仕留めた。

 「絶対に負けたくなかった。(鹿田を)抑えることができて、相手にリズムをやることなくできた」。無安打に抑えた旧友からは試合後、白い布で作られたお守りを譲り受けた。「頑張れよ」とエールももらい「あいつの分まで頑張ろうと思います」と力を込めた。

 12年ぶり3度目の3回戦進出。チーム力は確実に上がってきた。右股(こ)関節痛に悩む4番野口は、この日初めて自分で座薬を入れて試合に臨み1安打1打点。双子の柴崎兄弟も攻守で勝利に貢献した。その中心には、主将でエースの峰下がいる。「目の前の相手をひとつずつ倒していきたい」。九州の隣県対決を制した佐賀学園の夢が広がってきた。【木村有三】