マーリンズのイチロー選手がスペイン語を駆使してラテン選手とトラッシュトークをしているということが、米メディアで紹介され話題になったことがある。最近は中南米出身ではなくてもスペイン語が話せるという選手にスポットが当たるようになってきた。例えばオリオールズのアダム・ジョーンズ外野手はメキシコ移民の多いサンディエゴで育ったため、日常会話に困らないレベルのスペイン語を自然に身に付けている。マイナー時代に中南米の冬季リーグに参加しスペイン語を覚える選手もいる。

 監督やコーチにはスペイン語を話せるバイリンガルがさらに目立ち、最近は球団が新監督を採用するときにスペイン語のスキルを重視するケースが多くなっている。現在30球団のうちスペイン語を母国語とするバイリンガル監督はブレーブスのフレディ・ゴンザレス監督(キューバ出身)だけだが、米国人であるエンゼルスのマイク・ソーシア監督、カブスのジョー・マドン監督、カージナルスのマイク・マシーニー監督はスペイン語がネーティブ並みに流ちょうだ。マドン監督は高校と大学時代にスペイン語を計4年履修し、マイナー時代にプエルトリコ出身の選手とルームメートになって常にスペイン語で話す努力をしたという。

 一方で、メジャーでは最近、北米とラテンアメリカの「文化的摩擦」もクローズアップされている。ラテン選手は本塁打を打ったときにバット投げをしたり立ち止まって打球の行方を目で追うなどの行為をすることが多く、米国ではそれが相手に対して礼を欠く行為だとして批判される。これらの行為がきっかけで死球をぶつけ乱闘になることも多く、パドレスのバド・ノリス投手はUSAトゥデー紙で「野球はアメリカのスポーツであり、国民的娯楽。この国でプロとしてプレーしているなら、100年続いている米国のやり方を尊重し、この国の流儀に従うべきだ」と意見を述べている。

 選手のクラブハウスに入ると、ラテン選手が自身のロッカーでラテン音楽を大音量で流しているシーンをたまに見かけるが、そうした行為もトラブルの元になることがある。こうした文化的摩擦に対処することが、最近のメジャーの監督には必要不可欠なのだ。

【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)