メジャーのキャンプは、チームによってやはりそれぞれ特徴がある。青木宣親外野手が移籍したアストロズもそうだ。外野陣の練習を見ていると、フィールドでコーチを囲んで輪になり、かなり時間をかけてミーティングをしている場面をよく見る。他チームもミーティングはしているだろうが、フィールドで練習中に選手たちが輪を作って頻繁に話をしているのはアストロズ独特ではないだろうか。「野球はまず頭から」ということなのか、コーチが選手に事細かなレクチャーをしているようだ。

 先日、いつものように外野陣がフィールドでミーティングしたとき、コーチが全員に対して一通りレクチャーをした後、青木を呼び止め再び長々とレクチャーをし始めた。どんな話だったのか青木に尋ねると、全員に話したことと同じ内容だったといい「たぶんそれを伝えたかったんじゃない。分かったかなと思ったんじゃない。(送球のときの握りを)もっと縫い目にかけろと。そっちの方が引っ張っても取れないだろと。そんな感じ」と笑っていた。

 青木がキャンプ2日目に室内ケージで早出の特打をしたときは、デーブ・ハジェンズ打撃コーチと熱心に意見交換をする姿があった。ホームベース上に野球ボールを置き「2ストライクからは、こうだね」といった会話をしながら、ときどき同コーチの「ああ、それは私も同意する。ほとんどの打者は、こうだけれど」という言葉が聞こえてきた。練習後に同コーチに聞くと「彼についてよく知っておきたいからね。彼がどのような打撃をするのか、どんな考えを持っているのか、どんなルーティーンをしているのか、などについて話したよ」という。

 野手組キャンプインから約1週間後には、チームの全体練習後に野手をいくつかのグループに分け「ヒッティング・ミーティング」なるものが2日間に渡り行われた。すでにチームに慣れている選手以外はなるべく少人数で濃い内容のミーティングしようという意図があるようで、通訳が必要な青木だけはグループではなく単独で、マンツーマンのミーティングが組まれていた。ミーティングが多いと同時に、コミュニケーションも重視しているチームのようだ。

【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)