メジャー挑戦する新日本石油ENEOS・田沢純一投手(22=横浜商大高)がレッドソックス入りする意思を固めたことが23日、分かった。社会人野球日本選手権準決勝敗退から一夜明け、レ軍のクレイグ・シプリー副社長兼国際スカウトらが川崎市の合宿所を訪れ、初交渉で条件提示を行った。直前にはマリナーズも条件を提示し、ブレーブスを含む3球団から正式オファーを受けた。あいさつを受けたほかの4球団を含め、今月中にも他球団には断りを入れて、早ければ12月初旬にもレ軍と正式契約を交わす見込みだ。

 社会人最後の公式戦を終えた翌日、田沢のもとへ速攻でレ軍が訪問した。午後5時45分から約1時間50分にわたり、田沢も同席して初交渉。入団後即40人枠に入るメジャー契約に加え、長期的な育成プランに基づく複数年契約を提示したとみられる。

 日本選手権中はコメントを控えたシプリー副社長兼国際スカウトは「礼儀正しい好青年だ。条件提示をさせてもらった。彼が良く考えて、レッドソックスを選んでくれることを期待している。今日言えることはこれだけ」と時折、笑顔を見せた。交渉中は環境面やトレーニング施設などを含めて、レ軍の魅力を熱心に説明した。

 交渉を終えた田沢は「いい話し合いができた。来てほしいというのが伝わってきた。こういう風に評価してもらえていると感じられて良かった」と好印象を持った。この日の午前8時すぎに、大阪から東京に移動した。これまで進路については「監督と相談してから」と慎重な言葉を繰り返してきたが、出発の際には「早い方がいいかなと思う」と、初めて自ら早期決断する考えを示した。すでに3球団から条件提示を受けるなど、10球団が興味を示してきたが、田沢の心はレ軍1つに決まった。

 レ軍は田沢が「雲の上の存在」と尊敬する松坂など日本人の先輩投手が在籍し、日本人スタッフも充実する。歴史と人気に裏づけられたブランド力に加えて、育成面に関しても実績と自信を誇る。大久保秀昭監督(39)が一貫して入団条件に挙げるのは金銭や契約年数だけではない。「本当に彼のことをどういう風に育成してくれるのかという部分」と、「田沢の未来」を一番に挙げてきた。レ軍はこの条件に合致する。

 この日はレ軍の直前にマ軍が交渉した。ボブ・エンゲル国際スカウト部長が訪れ、ブ軍と同じくメジャー契約を提示したとみられる。大久保監督は「熱意は十分に伝わってます。早めに答えようと思ってます」と話す。24日は全体ミーティング後に田沢と個人面談を行う予定。他球団には今月中にも正式に断りを入れて、来月初旬には「レ軍の田沢」が正式誕生する。