オリオールズ上原浩治投手(33)が24日、今年初めてブルペン入りし、約60球を投げ込んだ。捕手を立たせたままのピッチングで自らが開発した新球“メジャー用カーブ”を試投。実戦で新兵器として導入する意向を明かした。すでに速球は130キロ台後半をマークするなど調整は順調。カットボール、シュート、フォークに加えて、もう1つの新球となるチェンジアップも「よく曲がる。試合で使っていきます」と手応え十分。メジャー1年目へ、上原が変化球のバリエーションを増やした。

 気温6度と肌寒い天気だったが、新天地での挑戦が目の前に迫った上原の熱気の前には関係なかった。「なんか懐かしいな」と今季初のブルペン入り。マウンドの足場を丁寧にセッティングしてから投げ始め、次第に投球のペースもアップした。「やっぱりユニホームじゃないと、足を上げるときにジャージーが引っかかって投げにくいね」と話したが、この時期にしてはキレのいいストレートを投げ込んでいた。

 例年、早いペースで調整するが、見慣れた光景が一変した。ボールを持った右手をひねるようにカーブのジェスチャー。そして投げた球は、カーブとスライダーの中間のスピードと曲がり具合の新球だった。上原本人は「カーブ。まだフォームが緩むけど、使っていきたい」と説明した。ボールの握りは人さし指を中指の上に乗せ、指1本で投げる独特の“ワンフィンガーカーブ”。「人さし指をボールにつけると、中指が使えなくなって曲がらない。だからこういう握りになったんですよ」と独自に研究し、開発した新球を披露した。

 単純にメジャー使用球に慣れるだけでなく、新たな武器となる新球を模索中だった。巨人時代にカーブは先発した1試合で1、2球投げていた程度。ボールの握りも基本的な握りだった。しかしフォームが緩んで曲がり幅も少なく、実戦で使えるほどの球ではなかった。上原は「日本のボールの方が滑らないし投げやすい。でも変化球がよく曲がる」とメジャー使用球の特性を考え、新球にチャレンジ。カーブ以外にチェンジアップも習得中で「空振りを取れなくても、打者のタイミングを外せればいい。使っていくつもり」と手応えを感じている。

 ブルペンでの初投げは約60球で調整は順調。投球の3分の1は変化球で新球も4球を投げた。「いつまでにどうするとか、こうするとかは決めていない。気分次第」と話すが、コンディションに不安はなく、2月15日のキャンプインまでにある程度は仕上げる意向だ。メジャーキャンプは実戦で肩をつくるが、上原の場合は肩づくりより、新球に磨きを掛ける比重の方が高くなりそうだ。これまで直球とフォークだけで勝負してきた右腕だが、メジャー1年目へスケールアップしている。【小島信行】