松井に投げたい。マリナーズ・イチロー外野手(36)が7日、神戸市のスカイマークスタジアムで自主トレを公開した。昨季ヤンキースで世界一となった松井秀喜外野手(35)が同じア・リーグ西地区のエンゼルスに移籍したことで直接対決の試合が約2倍となるが、本当の直接対決となるようにマウンドに上がる色気を見せた。オリックス時代の96年オールスター戦では松井に投げるチャンスを逃しており、15年越しの幻対決がついに実現する?
メジャー10年目を迎えるイチローは、グッと身近になった松井の話題に含み笑いを見せた。「(打者同士だから)直接戦うわけじゃないけどね。96年にはそのチャンスがあったんですけどねえ」。思い返したのは語り草になっている96年のオールスター第2戦。イチローは9回表2死、打者松井の場面でマウンドに上がった。
セ・パを代表する若きスターによる、球宴ならではの異色対決。球場は沸き立った。しかし、セ・リーグを率いるヤクルト野村監督が「松井に失礼だ」と投手のヤクルト高津を代打に送り、夢対決は回避された。
だが、イチローは15年越しの実現をあきらめていなかった。「本当にイチローVS松井になるようにブルペンで仕上げていきたい」。昨年2月の自主トレでは、WBCでの緊急事態に備えてブルペン投球を行った。速球、フォークなど56球。ボールを受けた元オリックス藤本博史捕手は「147キロは出てます」と話し、打席に立った元巨人柳沢裕一捕手は「対戦した中では宣銅烈(元中日)のような感じ。手元でも球威が落ちない」と舌を巻いたほどだった。
この日も中堅左から右翼線方向へ、100メートル近い遠投を力強い伸びる球でこなした。レーザービームを誇る右肩に衰えは見られない。「やるなら(マ軍の)ワカマツ監督にちゃんとテキストメッセージを送らないとね。勝手にブルペンに入ると怒られるから」。昨年2月にブルペン投球を行った際に、マリナーズ球団が顔をしかめた経緯を忘れていなかった。
冗談半分とはいえ、あり得ない話ではない。メジャーでは大差がついた試合で、投手を温存するために野手が登板することがある。マリナーズ、エンゼルスの注目対決が「大差」ではつまらないが、今季19試合と倍増する直接対決の試合の楽しみも倍増した。【柏原誠】



