楽天が、前ロッキーズ傘下3A松井稼頭央内野手(35)を獲得することが23日、分かった。近日中に発表される。球団の松井稼に対する評価は一貫して高く、今年にとどまらず長いスパンで調査を継続。8年ぶり日本球界復帰の現実性が高まったことに加え、得点力アップと二遊間強化が来季補強の最重要課題だったチームの現状もあり、水面下で交渉を行ってきた。入団の決まった前アスレチックス岩村の2年総額3億円(推定)を上回る大型契約になることが濃厚。星野楽天にまた1人頼もしいピースが加わる。

 8年ぶり日本復帰の松井稼が袖を通すのは、クリムゾンレッドのユニホームだ。星野監督が21日に「今日か、明日かで(大きな動きが)あるよ。うれしいニュースだね。ヨシッ、という感じだ」と、ひざをたたいて喜ぶほどの補強。Kスタ宮城で実現する岩村とのメジャーコンビ。野球好きだけでなく、闘将の胸をも揺り動かす大きな補強となる。

 同監督は同時に「オレじゃないよ。球団がやってくれたんだ」と感謝の言葉を続けた。就任するずっと前、松井稼がメジャーで活躍していた時期から、数年来の調査を継続してきた。今年5月にアストロズを離れマイナーへ移籍したが、走攻守とも力量に変化はないと判断。慎重にオファーのタイミングを探った。

 二遊間を固定できなかった上に得点力不足も重なり今季は最下位。補強ポイントと合致するのはまさに松井稼で、機は熟した。巨人、オリックスなど複数球団が獲得に向け調査を行っていたとみられ、争奪戦の様相を呈したが、楽天のひた向きさは報われた。日米通算2048安打、408盗塁。両打ちで長打もある。二塁、遊撃どちらもこなせる。万能選手は星野構想に無限の選択肢を与える。

 長期にわたる調査を行う中で、球団が最も高く評価し、期待するのはその人間性にある。球団関係者は「練習に対する取り組みが真摯(しんし)で一切の妥協がない。人柄も誠実、温厚という声しか聞かない」と強調する。今季在籍した藪がそうだったように、メジャーでもまれた豊富な経験を若いチームに還元し、財産を残してくれるはず。監督はじめ顔ぶれががらりと変わる来季、生え抜きの山崎とともに楽天を束ねてほしい狙いもある。

 大きな役割を担ってもらう以上、ふさわしい契約で迎え入れる。岩村の2年総額3億円を上回ることが濃厚で、複数年、総額にして4億円に届く可能性は十分にある。生まれ変わった星野楽天の象徴として、センターラインの真ん中に松井稼頭央という太い芯が入る。