ベネズエラで9日(日本時間10日)、現役メジャーリーガーが拉致される前代未聞の事件が起きた。被害者はナショナルズのウィルソン・ラモス捕手(24)。ウインターリーグ出場のため母国に滞在中で、首都カラカスの西150キロにある実家にいたところ、銃を持った武装集団に連れ去られたという。所属するアラグアの女性広報がツイッターで「悲しいことにラモスが誘拐されました」と発信し、ナ軍も情報収集に努めている。

 ラモスは今季新人ながら113試合に出場して打率2割6分7厘、15本塁打、52打点、盗塁阻止率28%はリーグ3位と堅守も光った。途中から正捕手の座をつかみ、3位と躍進した若いナ軍の象徴的存在だった。

 治安が悪化するベネズエラはここ数年、身代金目的でメジャー選手の親族を狙った拉致や誘拐が多発。05年には通算237セーブを挙げたウルビナ(元フィリーズ)の母が5カ月以上も拘束され、09年にはトレアルバ捕手(レンジャーズ)の11歳の息子が誘拐された。ただ現役選手が被害に遭ったのは初めて。警察当局はこの日夜、「誘拐犯から家族の方に連絡はない」と捜査が難航していると伝えた。