<レイズ5-0オリオールズ>◇1日(日本時間2日)◇トロピカーナフィールド

 【セントピーターズバーグ(米フロリダ州)=四竃衛】レイズ松井秀喜外野手(37)が、早くも今季2号アーチを放った。オリオールズ戦に「7番左翼」でスタメン出場。第1打席にオ軍先発チェン(前中日)から、右翼ポール際最上段へ運んだ。メジャー昇格3試合目、通算9打席で2発。強烈なインパクトで、首位攻防戦第1ラウンドの勝利、単独首位浮上に貢献した。

 がむしゃらに、無我夢中で強振したわけではない。1回、レ軍が3点を先行し、なお2死二塁。打席に向かう松井の頭は、冷静に状況を見極めていた。日本球界の後輩とはいえ、チェンとは初対戦。それでも、狙いは初球だった。内角寄りの146キロの速球。「シンに当たったし、飛距離も出ていい打撃でした」。右翼ポール際最上段に届く、松井らしい、豪快な2号2ランだった。

 冷静な積極性が生んだ1発だった。5月29日のメジャー昇格即アーチに続く初球本塁打。これまで松井といえば、基本的に2ストライクに追い込まれるまでは、じっくりと好球を待つタイプとして知られてきた。だが、自軍がリードし、なおもチャンスの場面で、相手はメジャー1年目。試合前、ビデオで「直球とスライダーのコンビネーションでくる」とのデータをインプットしていたメジャー10年目のベテランが、ストライクを欲しがる左腕の速球を見逃すはずはなかった。

 冷静さの裏には、体調の良さとオフ期間から取り組んできた技術的な裏付けもあった。所属先が決まらなかったオフ期間に東京、ニューヨークで続けてきた自主トレ中、もっとも意識してきたのが、骨盤の動きだった。投手方向への体重移動を最小限に抑え、体の中心部を動かさず、コマのように骨盤主導の軸回転でスイング。この日のアーチにしても、不調時ならトップスピンがかかり、ポール際でファウルになっても不思議ではなかった。

 だが、重心を残したまま、軸回転したことで、ホームラン打者らしい一直線の放物線を描いた。「切れるとは思わなかったですね。いい形で打てたと思います」。左ひざの状態がいいからこそできる打ち方であり、打球だった。

 第2打席の遊ゴロ併殺、第3打席の左飛にしても強い打球を放つなど、凡打の内容も悪くない。7回表の守備から松井をベンチへ下げたマドン監督にしても、好調を維持させるための交代であることを明かした。「長いシーズンだし、体調を保つことが大事。それが彼にとっても我々にとっても有益だからね」。

 オフにバットのグリップで右手薬指が触れる部分を約0・3ミリ削るタイプに改良したのも、より良い感触を求めたからだった。「状態は良くなっているような気がします。先のことは分からないですけどね」。冷静さに積極性を兼ね備えたスラッガー。過去2発は、紛れもなく、メジャーでもトップクラスといわれるホームラン打者にしか残せない弾道だった。