<レイズ4-3ヤンキース>◇2日(日本時間3日)◇トロピカーナフィールド

 【セントピーターズバーグ(フロリダ州)=佐藤直子】レイズ松井秀喜外野手(38)が試練に立たされた。古巣ヤンキース戦に「4番右翼」で先発するも、2回の守備中に左太もも裏を負傷。打席に立つことなく途中交代した。松井自身は故障者リスト(DL)入りに関して「そこまでいかないかと思います」と話した。回復が遅れるようならば、危うい立場に一層追い込まれそうな状況に陥った。

 レイズの攻撃が始まろうとする2回、先頭打者で打席へ向かうはずだった松井に代打が告げられた。テレビでは、レ軍ベンチ内でマドン監督と顔をしかめながら話した松井が、ベンチ裏へと姿を消すシーンが映し出されていた。

 異変が起きたのは、直前の守備だった。2回2死一塁、元僚友ジーターが放った右翼線へのファウルを追いかけた際、「脚がつったような感じになった」とスピードが落ち、左脚をかばうような動きになった。「大丈夫かなと思ったが、ベンチに帰った時に(トレーナーに)言ったら、(監督が)代われと」と説明した。

 6月23日以来となる右翼守備。1回から不吉な前兆はあった。1死三塁でテシェイラの飛球を、白い天井と重なって見失ったのか、捕り損ねた。記録上は二塁打でも失策に等しいプレーに、本拠地のファンからブーイングが飛んだ。

 試合中にアイシング等の治療を行い、試合後には脚を引きずる様子もなく帰路に就いた。ヤンキース時代の07年4月には同じ左太もも裏を肉離れし、DL入りした故障歴がある。当時は最短の15日間で復帰しており、この日も「あの時よりは全然大丈夫だと思います」と軽症を強調。精密検査を行う予定もないという。

 松井にしてみれば、簡単には休めない事情がある。打率1割7分7厘と打撃不振から抜け切れない上、左脇腹痛でDL入りするジョイス外野手が、最短で5日から復帰を目指している。元気にプレーする姿を印象づけておきたかったが、負傷は控え選手としての立場を悪くするだけ。回復が長引くようだと、DL入りの可能性も否定できない。

 前日は今季2度目の1試合2安打をマーク。一塁から本塁へ激走するなどハッスルプレーを見せた。疲労の影響を聞かれると、「自分の感じないところで、多少張りが出ていたのかもしれないですね」と否定はしなかった。ただ09年に右太もも裏を負傷した際は、1試合を欠場しただけで2日後にはスタメンに戻り、本塁打を放った。度重なる故障禍を克服してきた松井の回復力に賭けるのか。マドン監督は「明日の様子を見たい」と話すにとどまった。

 ◆今季の守備位置別の打撃成績

 指名打者(DH)で通算2割6分8厘、代打で2割8分3厘の松井だが、今季に限れば、守備に就かないケースだと打率1割8厘と苦闘。守備に就くと2割3分8厘で、打撃にもリズムが生まれている。